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「大は小を兼ねるは正解か? 」キャンプやアウトドアで使い倒せる「ポータブル電源」選びで迷わない4つのスペックとは?

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  • キャンプで使えるポータブル電源
  • ポータブル電源のソーラーパネル
  • テント泊で使えるポータブル電源
  • ポータブル電源のAC出力
  • ポータブル電源の出力用端子

  

各種の電化製品に電源を供給することができるポータブル電源。自宅やアウトドア、また防災用にと、さまざまに活用ができて、いま非常に人気が高いアイテムです。見た目にもさまざまなタイプの製品があるので、どれを選んだらいいのか迷ってしまいますね。

ポータブル電源選びはけっこう奥が深く、単純に見た目や価格などで選んでしまうと、自分の求めていた使い方ができない可能性もあります。そこで、本稿では、間違いのないポータブル電源選びをするための基礎知識をご紹介しましょう。アウトドアとデジタル製品に詳しい篠原義夫さんに、選ぶ際の着目点についてうかがいました。

  

基本的なスペックを覚えておくことが必要

   

ポータブル電源は「電源」ですから、本体にどのくらいの量の電気を貯めておけるのか、また出力できるのかがとても重要です。この能力は製品によってもさまざまなので、篠原さんは「まず、基本的なスペック(仕様)について知っておくことが大切です」とアドバイスします。

「スペック」と聞くとなにやら難しそうですが、「大丈夫です。知っておいていただきたいのは、『バッテリー容量』『定格出力』『形状&サイズ』『出力端子&本体充電』の4つです」と篠原さん。それぞれを具体的に見ていきましょう。

  

自分にとって最適なバッテリー容量を知ろう

  

【バッテリー容量】

「バッテリー容量」は、本体にどれだけの電気量を貯めておけるかを表す数字です。製品のスペック表を見ると、『mAh』(ミリ・アンペア・アワー)や『Wh』(ワット・アワー)という単位で表示されていますが、「ここでは『Wh』に注目してください」(篠原さん)。

「Wh」というのは、1時間当たりの電力量を表していて、例えば「100Wh」は100Wの電気製品を1時間使えるという意味です。

「重要なのは、自分にとってベストなバッテリー容量を探ることです」と篠原さん。どのように考えればいいのかというと、まず実際に使用する機器の1時間当たりの電力量(Wh)を算出して、これに使用時間を掛けることで、必要な電力量が算出できるとのこと。例えば消費電力が「40W」の電気毛布の場合、1時間当たりの電力量は「40Wh」で、仮に8時間使うとすると「40Wh×8時間×枚数(1枚)=320Wh」となります。

  

テント泊で使えるポータブル電源

   

ただ、ここで注意したいのは、ポータブル電源のAC電源は、直流から交流に変換する際に2~3割程度の変換ロスが発生する点です。そのため、「バッテリー容量は、消費する電力量より多めに見積もる必要があります」(篠原さん)。

つまり、「320Wh」が必要な機器を使用するには、仮に2割の変換ロスを考慮したとすると、「320Wh×1.25=400Wh」が必要になる計算です。「私自身の経験でも、ソロキャンプで400Whあると安心できます」(篠原さん)。

同様のケースでファミリーキャンプを想定すると、3人家族なら3倍の「1200Wh」程度が目安となります。当然、本体サイズは大きくなり、価格も高くなりますが、「1台のポータブル電源ですべてを賄うのではなく、複数台で必要な容量を確保する手もあります」(篠原さん)。

また、防災用として考えた場合、家族構成やなにを使うかによって必要なバッテリー容量は異なりますが、「最低限、情報収集手段として欠かせないスマホのバッテリーを切らさないことを重視して、3人家族なら1000Wh程度を見込んでおけば1週間程度は困らないはずです」(篠原さん)。

  

出力は使用する機器の「消費電力以上」が必要

  

【定格出力】

ポータブル電源では、「使用する電化製品の消費電力以上の定格出力が必要になります」(篠原さん)。定格出力の単位は「W」(ワット)で、消費電力100Wの製品を使うには、最低でも100Wの出力がないと利用できません。例えば、電気毛布や扇風機などは50~100W程度の消費電力なので、これらだけを使うということなら、定格出力は200WもあればOKですが、ほかの機器も使う、あるいは消費電力がもっと大きい機器を使うということでしたら、定格出力500Wや1000W程度が必要になるケースもあるわけです。先述した「バッテリー容量」の考え方と同じで「使い方によって異なりますので、ポータブル電源で使用したい製品を事前に確認しておくことが大切です」(篠原さん)。

  

ポータブル電源のAC出力

  

また、ポータブル電源のスペックには、「瞬間最大出力」といった数値が記載されている場合があります。「瞬間的に大きな電力を消費する電気製品を利用する場合は、瞬間最大出力が大きい製品を選んだほうが無難です」(篠原さん)。

ただし、最大出力が出せるのはあくまでも瞬間的なものなので、常に最大出力で稼働することはできないので注意しましょう。

  

車載時や持ち運び時を考えてサイズを検討

  

【形状&サイズ】

ポータブル電源の本体形状は、基本的にほぼ直方体です。持ち手(ハンドル)の部分が折り畳めると、クルマに積む際や収納するときに便利ですが、同時に持ち運びのしやすさも確認しましょう。デザインについては多種多様なので「スペックや使い勝手などの条件が合えば、好みで選んで問題ありません」(篠原さん)。

サイズや重量については、バッテリー容量によって異なります。比較的小容量な300Whのモデルですと、幅25cm前後、重量5kg前後ですが、2000Whを超える大容量モデルになると、幅50cm以上、重量30kg超ということも珍しくありません。あまり深く考えずに大容量モデルを買ってしまったら持ち運ぶのが大変だった、ということのないよう、「必要十分な容量を把握して、ピッタリのサイズを見つけてください」(篠原さん)。

  

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