「頭を雲の上に出し 四方の山を見下ろして」とは、日本の唱歌「ふじの山」の歌い出しですが、下界が曇りでも、高い山では晴れていて、雲を見下ろせることがあります。
比較的低い高度に発生する「層雲」を雲の上から見下ろすと、まるで雲の海のように見えます。これを「雲海」と呼びます。
雲海は、俳句の世界では夏の季語とされていますが、実は条件さえ揃えば、季節を問わず発生します。
いつもは遥か高い頭上にある雲を見下ろす体験
雲を見下ろす体験といえば、天気の悪い日に飛行機に乗ったときでしょうか。
何も見えない黒い雲の中を突き抜けて、ある瞬間、パッと真っ白な雲の上に出る。すると、あたりはクリアな青空が広がっている。
地上では暗く、グレーだった雲が、雲の上からだと真っ白に見えるのは、わかっていても感動しますよね。
(雲が白く見える理由について、詳しくは 「雲の図鑑」~vol.1~ )
雲海はいつ、どこで見られるの?
雲は、いろいろな原因によって空気中の水分が凝結して生まれます。
その中でも雲海は、夜間の放射冷却で地面が冷えて、地表面付近の空気中にある水蒸気が凝結して作られる「層雲」などによって形成されることが多いようです。
このような雲海は、太陽が昇ると日射によって消えてしまうので、見られる時間帯は早朝です。
周囲を山に囲まれた、盆地のような地形のところで発生しやすい雲海。日本には、その条件に合う、「雲海の名所」として知られているスポットが、各地にあります。
雲海がよく見られる山岳リゾートなどでは、春秋の早朝にゴンドラの特別運行を行ったり、雲海ツアーを実施したりしているところもあります。