「ヘビクイワシ」というワイルドで強そうな名前を持ちながら、その姿はとってもクールで優美。歩く姿はモデルウォークをしているようです。しかし獲物を見つけるとある特技を繰り出して確実にしとめるという、「へんでカッコいい」ヘビクイワシについて掛川花鳥園の運営管理部課長・学芸員 バード統括兼広報担当の北條龍哉さんにうかがいました。
哺乳類や昆虫など、ヘビ以外も捕食する
猛禽類のヘビクイワシは、主にアフリカのサバンナや草原に生息しています。全長は1m~1m50cmで、翼を広げると1m20cm~1m40cmくらいになります。
「ヘビクイワシという名前ですが、けしてヘビだけを捕食するわけではありません。小さな哺乳類や両生類、爬虫類、虫なども食べるのですが、ヘビを倒す姿がインパクトあるので、その印象を持っている方が多いと思います」と北條さん。
ヘビクイワシは空を飛ぶこともできますが、多くの時間を地上で過ごすそうです。長い脚で歩く姿はとっても優美で、モデルのようなどとも言われます。
「色もとても鮮やかですね。目の周りがオレンジで、頭の後ろの羽冠や翼の後方にある黒い風切羽も、かっこいいです。そして目を縁取る長いまつげがくるんとカールして、歩き方もスッとしてエレガントだと言われています」(北條さん)
ちなみに、飾り羽が羽ペンのように見えるところから英名は「secretary bird(書記官鳥)」と呼ばれているそうです。
ヘビも急所を狙って得意のキックで仕留める
まさに鳥界のスーパーモデルとも言うべきエレガントなヘビクイワシですが、狩りをするときの姿はほかの猛禽類と異なり、ちょっと「へん」に見えるかもしれません。
「ヘビクイワシの大きな特徴はキック力なんです。体重の5倍ほどのキック力があると言われています。鳥は手が使えない分、たいていはくちばしか足で攻撃するのですが、ヘビクイワシは足で攻撃します。蹴る力が強くて、獲物を見つけると、何度もキックで攻撃して仕留めます」(北條さん)
掛川花鳥園でもヘビクイワシの生態を知ることができるショーがあり、スタッフの解説を聞きながらおもちゃのヘビを蹴る姿を見ることができます。クールかつエレガントに登場したヘビクイワシが、突如としてこれでもかとヘビのおもちゃを蹴る姿はインパクトがあります。ときには羽を大きく広げながら蹴るのですが、これは猛毒をもったへびが万一反撃してきたときも、足ではなく羽を噛むようにと惑わせるための行為です。