上野の国立科学博物館で開催されている、海のことを深く知れる特別展「海 ─生命のみなもと─」。前編では展示エリアの前半をご紹介しました。
後編では、海と人類との関わり、そして海から様々な恩恵を受けてきた私たちが、海に何を返せるかを考えていきます。
古代から現代までのヒトと海との関わり
生き物だらけの第2章から、ヒトが海を利用した歴史を辿る第3章「海からのめぐみ」へ移動しました。古代の人類は、どうやって日本列島へ渡来したのでしょうか。約3万年前、人類は丸木舟を使って海を渡りました。ここでは、この丸木舟の展示とともに、3万年前の航海の様子を再現したプロジェクト映像が紹介されています。途方もない旅路の様子は必見です。
そして驚きなのは、沖縄で見つかった世界最古の釣り針です! 約2万3000年前の、貝殻で作った釣り針をはじめ、同じく貝殻から作られた装飾品などが展示されています。人々は、海で採れる貝を食べ、そこから釣り針を作って魚を釣るという、海を存分に活用して生きてきたのです。
縄文人の海との関わり方のあとには、一気に現代へ。筆者が今回最も注目していた展示の一つ、無人探査機「ハイパードルフィン」の登場です。ここ20年も使用している実機のため、ところどころ錆びていたり、傷がついており、渋みが増しています。最大深度4500mまでの潜航が可能で、超高感度ハイビジョンカメラを搭載しているため、これまで多くの海の生き物の貴重な姿を捉えてきました。
生き物だけでなく、海底に埋蔵されている金属やエネルギー資源となる海底資源を採取する役割も果たしています。
その他にも、消えてゆく北極海の海氷の謎を解明するべく開発された海氷下ドローン「COMAI」や、北極域研究船の模型など、人類の最新技術を駆使した結晶たちが並びます。