気持ちも気温もゆったりできる秋は、じっくり構図を考えながら花と向き合える良い時期です。しかし、秋の花は個性的であったり、奥行きがあったりするせいか、「思っていたのと違う写真になった!」ということも多いのではないでしょうか。
そんな人にインスタ映えする花と共に、撮影のワンポイントアドバイスを紹介します。
おおよその開花時期を記載しておきますが、場所によって異なる上、今年は気候のせいで開花がズレやすい傾向にあります。そのため開花状況はそれぞれの公式サイトで確認して下さい。
露出を控えめにしてシックな雰囲気に写す【秋バラ】
老若男女を問わずファンが多くインスタグラムでも人気が高いバラは、春と秋に開花のピークを迎えます。
秋バラは10月~11月下旬頃開花し、春に比べ開花する品種も少なく、花も小さいのですが、その分香りや花色も濃く、春のバラとは違った魅力があります。露出を下げて撮ることで、バラのしっとり感と秋の陽の光の柔らかさを表現したり、少し傾いた秋の日差しを使いアートな雰囲気を出したりできます。
都心部だと、洋館をバックに撮影できる旧古河庭園や鳩山会館。また日比谷公園、代々木公園、新宿御苑、神代植物公園などが有名です。
またレンガ作りの植え込みや石の塀と合わせて撮れる意外な穴場として秋留台公園もオススメです。
見かけたら何がなんでも撮影しておいた方が良い【フジバカマ】
秋の七草に数えられるフジバカマは、古い時代に日本に入ってきた帰化植物といわれ(※固有種という説もあります)、『万葉集』にも登場しています。近年、河川の環境整備などの影響で住む場所を追われ、自生地を減らしつつあり、2018年に環境省に準絶滅危惧種として指定されました。
東京都でもごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種に指定されていますが、水元公園をはじめ、数は少ないものの新宿御苑、昭和記念公園などで10月頃まで見ることができます。
そんな貴重なフジバカマは、見かけたら見栄えが納得いかなくても撮影しておいた方が良い花です。アップにする場合は花を画面いっぱいに写すのではなく、花の特徴を入れながら余白や背景を多めに入れるとバランス良くまとまります。
群生している場合は、少し引いて群生の様子を写すと雰囲気が出ます。またフジバカマの仲間には旅する蝶といわれるアサギマダラのオスが花に寄ってくるので、アサギマダラやその他の蝶と一緒に写すのもインスタ映えしそうです。
葉っぱの間から覗き込むように撮ってボケを作る【コスモス】
葉や茎が細く花数が多いコスモスはボケを作りやすい花です。花や葉っぱの間から花に負担にならないようにレンズで覗き込むようにして、少し奥の花を狙うと繊細な雰囲気の写真が撮れます。
一面に輝くように咲き誇るコスモスを見るなら、種類やスケール感で昭和記念公園がおススメです。その他、浜離宮恩賜庭園、しながわ花海道、小金井公園、秋留台公園などで9月から11月頃まで楽しめます。
また秋晴れの青空とコスモスは好相性、花の表が見えない時は青空を背景に裏から花を撮っても素敵です。種ができ始め写り込んでしまうと意外に目立つので、種ができる前の撮影がオススメです。
背景を工夫してインパクトのある赤を切り取る【ヒガンバナ】
めっきり秋らしくなってきた時に姿を表すヒガンバナ。そのまま見ても赤い色は鮮明ですが。背景に木の幹や赤とは反対色の緑を写し込むことで、さらにクッキリと引き締まった印象の赤を写真に収めることができます。
また、元々花の奥行きが深いためにピント合わせに迷うと思いますが、たくさん咲いている時は中間地点や、奥の方の花に合わせると、手前がボケてメインにした花との立体感ができます。
特に目立つ一輪を見つけたら迷わずその花にピントを合わせるとツウっぽい写真が撮れますよ。比較的近くの神社やお寺の境内、公園などでも見ることができますが、府中市郷土の森博物館、昭和記念公園、小石川後楽園で9月下旬(お彼岸の頃)~10月頃まで見ることができます。