サンライズエンジニアリングが2020年に新たに立ち上げた、青森発のアウトドアブランド「フェニックスライズ」。縦型の薪ストーブや、お祭りのかがり火のような焚き火台など、自社の金属加工技術を活用して、ユニークで質の高いキャンプ用品を数多く生み出しています。
今回は新規事業を新たに立ち上げた2代目社長、赤坂太樹さんに、「フェニックスライズ」のキャンプギアに込められた想いや、いま力を入れているさまざまなコラボ商品についてお聞きしました。
赤坂さんがキャンプ好きになったきっかけとは?
キャンプを趣味にしているサンライズエンジニアリングの社長、赤坂太樹さんが新たに立ち上げたアウトドアブランド「フェニックスライズ」。その高性能かつユニークな商品がキャンパーたちに受け、立ち上げから三年の間に、180アイテム以上もの製品を生み出す人気ブランドとなりました。
そのギアを主に企画しているのは代表の赤坂さん。これほどまでにキャンプに情熱をかけられる人なのだから、根っからのキャンプ好きのようにも思いますが、じつは知人からキャンプに誘われるまで、興味はゼロ! 初めてキャンプに誘われたときも全く乗り気ではなかったそうです。
「どちらかというとキャンプ嫌いだったんですよ。その時は夏だったので、蚊に刺されるし、むしむし暑いじゃないですか」
「シャワーないでしょ、Wi-Fiもないでしょ。付き合いだったので行きましたけど、泊まりませんよ、という意思表示のつもりで家族を連れていきました(笑)」
それほどまでにキャンプに対して抵抗感を持っていた赤坂さんでしたが、実際に体験してみると、イメージが180度変わったのだといいます。
「とにかく楽しくてですね。大きなテントでみんなでわいわいするのも楽しいし、なにより、外でごはんを食べるのってこんなにおいしいんだなあって!」
自分たちで火を起こし、みんなで焚き火を囲んで食べるごはん。
その時に赤坂さんの脳裏によぎったのは、かつて経験した東日本大震災時の食事の記憶でした。
ガスもストップしてしまった状況のなかで、赤坂さん一家は、何年もつかってない石油式ストーブを引っ張り出して、調理器具として活用。マッチで火をつけて、お米を炊いて味噌汁を作り、みんなで一緒に食べたのだそうです。
赤坂さんが驚いたのは、「ただの暖房器具としか思っていなかった石油ストーブで、ごはんが炊けるという事実」でした。
「よく考えたら当たり前なんですけどね。炊飯器しか使ってこなかったので、石油ストーブでも20~30分で炊けるということに、当時はかなり驚きました」
そうしてみんなでわいわい石油ストーブを囲んで食べた質素なごはんは、とてもおいしかったのだそう。その時のことと、キャンプ場で自分たちで作って食べるごはんがぴったり繋がったのだといいます。
こうしてキャンプの楽しさを知った赤坂さんはフェニックスライズというブランドを立ち上げ、数多くの面白ギアを生み出していきました。
〝なんとか生き残ってほしい〟商品に込められた震災への思い
フェニックスライズのブランドコンセプトの根底には、赤坂さんの経験した震災への想いが強く残っています。
「自社の製品は、キャンプのほかに、いざという時にも使えるものであってほしいと思っています。毎年なにかしらの自然災害が起きるので、なんとか煮炊きして生き残ってくれ、という想いがありますね。たとえガスも家電も、家すらないような状況でも、キャンプギアを使って、火起こしや煮炊きはいつでもできるようになっていてほしい」
フェニックスライズの商品には、防災にも役立てる商品でありたいという想いから、折りたためるコンパクトなギアが数多くあります。こちらはすべてのパーツが分解できる小型の焚き火台「CRUNCH VOX」。上に飯盒を置いてお米を炊くこともでき、収納するときは飯盒の中にすっぽり入るサイズ感です。
かさばらない折りたたみ式のギアだと、普段はたたんで、物置や車内の隅など、ちょっとしたスペースにおいて置いておくことが可能。キャンプギアがいざというときの備えにもなるのです。