サンライズエンジニアリングが2020年に新たに立ち上げた、青森発のアウトドアブランド「フェニックスライズ」。お祭りのかがり火のような焚き火台や、炭火焼きのおつまみが作れる1人用の七輪など、自社の金属加工技術を活用して、ユニークなキャンプ用品を数多く生み出しています。
しかし、サンライズエンジニアリングは、元々、金型製作や自動車の部品製造を手掛けてきた会社。なぜアウトドアという分野で新規事業を立ち上げたのでしょうか。
今回は新規事業を新たに立ち上げた2代目社長、赤坂太樹さんに「フェニックスライズ」が誕生した経緯をお聞きしました。
アウトドアブランド「フェニックスライズ」を立ち上げたきっかけ
「あれ? これ、全部自分で作れるんじゃないか? そう思ったのがフェニックスライズを立ち上げたきっかけでした」
こう語るのは、サンライズエンジニアリングの2代目社長、赤坂太樹さん。
赤坂さんは、知人から誘われたのをきっかけにキャンプにどハマり。キャンプ用品を一式揃えるべく販売店へ行ったとき、焚き火台、飯ごう、グリルなどの揃えるべきギアをみて、自社で全て作れることに気がついたのだそうです。
「なんなら、これよりももっといい商品を自社で作れる。だから、アウトドア用品を自社製品にして、売ったらいいのではないかと思ったんですよね」
「キャンプ用品を作ろう」
そう決めた赤坂さんは、翌日の朝礼で早速、そのことを社員に打ち明けました。
しかし赤坂さんは、社員に製造をはじめるよう指示を出すことはなく、「最初は全部自分でやります。きちんとした流れができてから渡すので」と伝えて、一人で作りはじめたのです。
朝から夜中まで、思いついたアイデアをたくさん壁に貼り付けて、職場の壁は紙だらけ。
キャンプギアを毎日狂ったように考える日々がつづき、赤坂さんはたとえ真夏でも家の前で焚き火をしながら、新たなアイデアを考え続けました。
今までの業務は、取引先から「これを作ってほしい」と依頼があって、その指示に忠実な商品を作り続けるもの。一方でキャンプギアは、自分で発想したものを自分で作るので、とにかく楽しかったのだといいます。
例えばフェニックスグリル。軽量タイプの焚き火台なのですが、ペグを通して別売りのオーブンを取り付ければ、ピザやトーストを焼くことができます。焚き火のついでに料理もできる、一石二鳥のアイテムです。
「誰に売ろうかと考えた時に、ターゲット層を自分にしたんですよ。自分がほしいから、作る。それがよかったのかなと思いますね。自分がほしいと思うものを作るわけですから頑張れますし、改良にも自然と目が向きます」
そうしてキャンプギアを自ら発想して作り、週末には趣味で出かけたグループキャンプに試作品を持っていきました。
みんなで呑みながらギアを試していると、キャンプ仲間から「こっちに取っ手がついたらもっといいのに」「こんな機能があってもいいのでは?」といった意見がたくさん出てくるのです。
また、時には地元のキャンパーの「こんなギアがほしい!」という意見から商品が生まれることもあるのだといいます。
焚き火の台置き、折り畳み可能な薪置き台「ダブルデッカちゃん」は地元キャンパーの要望に応えて製作した商品。薪のストックを約10kgまで、まとめて置いておくことができる便利グッズです。これがあれば床に薪が散乱することもありません。
また、持ち運びがしやすいように、折りたたむとかなりコンパクトであるのも便利なところ。
フェニックスライズの商品には、赤坂さんをはじめとしたキャンパーたちの知恵と工夫がたくさんつまっており、その質の高さとユニークな発想がうけて、多くのキャンパーの間で支持されるようになりました。
こうしてフェニックスライズは、180点以上もの製品を生み出す期待のアウトドアブランドになったのです。