2010年1月に初代モデルが発売された日産リーフ。当時から懸念されていたのは、「使い終わったバッテリーをどうするのか?」という問題で、バッテリーは作る時も廃棄する時も、エネルギーを多く消費することから、その後のリサイクル方法には課題と期待がそれぞれありました。
以前筆者が調査したバッテリーの再利用方法には、信号などの電源が切れた際の補助バッテリーとして、または河川を監視する定点カメラのバッテリー、商業施設などでのリサイクル利用など、じつはバッテリーを必要とする場所は全国の至る所にあり、電気自動車のリーフでお役御免となったバッテリーを再利用することで、かなりのリサイクル効果になることを学びました。
日産が東京オートサロン2023の会場で試作機を公開
そこから時間を経て、ハイブリッドカー(HEV)も電気自動車(BEV)もその台数が顕著に増えていくなかで、日産は新たに回収したリーフのバッテリーを選別して、バッテリーパックとして販売していくことが発表されました。このアイテムの特徴は、パートナーである「フォーアールエナジー」が回収選別を行ったバッテリーを、同じくパートナー企業である「ケンウッド」がポータブルバッテリーに仕上げて販売するというもの。じつは今年1月の東京オートサロン2023の日産ブースにてその試作機が展示されていました。
この回収されたリーフのバッテリーを2枚積み込むことによって、最大600Wの電気機器が使えるようになります。またBEV用の電池は非常に高性能なため瞬間的ですが1000Wぐらいまでなら耐えられるそう。そのため電気ケトルなども使えるほか、すでに販売されているケンウッドの商品であるソーラーパネルでの充電にも対応するなど、2023年1月時点では価格こそ未定ながら、新しく作ったものではなく再生バッテリーである面を武器として、競争力ある価格設定が検討されていました。
発売時期は2023年度中とアナウンスされており、日産ディーラーのほか、ケンウッド商品が扱われている量販店でも販売されるとのこと。大規模施設ではすでにリーフのバッテリーを再利用する取り組みが実施されていますが、家庭用の商材としては世界初の試み。これからはキャンプはもちろん災害時などの非常用での活用など、多くの場面でこの再利用バッテリーが実力が発揮されそうです。
リサイクルバッテリーを活用した移動事務所を提案
そして、このリサイクルバッテリーを積んだ移動事務所の提案が「パワード・ベース・プロ(キャラバン)」だったのです。この車両はキャラバンをベースにバッテリーパックを4つ搭載したもので、数々の電気機器の使用を可能にしています。
エンジンが停止していても積み込んだパソコンや電子レンジが使えるほか、大型の冷風機(ヒーターもある)や電動工具の充電装備を搭載。これなら真夏の工事先の現場でも、エンジンをかけなくても快適に休憩することができるし、ルーフ(300W)とボディの両サイド(60+60W)に備え付けられたソーラーパネルにより、理論値で300Wの充電ができるようになっているのです。