夏休みの自由研究で、自分ひとりでは解決できなかったことはありませんか? 特別企画「ソトラバこども相談室」では、「〝ソト〟の不思議を解決します!」をテーマに、専門家の方々に素朴な疑問をぶつけてみました。「鳥編」では、日本鳥類保護連盟(にほんちょうるいほごれんめい)の岡安栄作さんにお答え頂きます。
鳥の巣って一年中使ってなかった!
どうして、鳥だけあんなふうに巣をつくるのでしょうか。
「まず、鳥は何のために巣を作るか知っていますか?」と岡安さん。
生活するためとか、雨や風から身を守るためとか……。人間と同じく「おうち」をつくるのでは?
「正解は〝卵を産んでヒナをかえすため〟です」
えっ、そのほかの時期は、家が無いの!? と、ビックリ。
木の穴や巣箱を使う鳥は秋や冬でもねぐらとして使うことがありますが、多くの場合は巣を作って卵を産んで、ヒナが巣立ったら巣は使わないことが多いんですよ。また、巣を作らない鳥もいます。
カッコウ、ホトトギス、ジュウイチ、ツツドリの4種の鳥は、「托卵(たくらん)」といって、他の鳥の巣に自分の卵を産んで、巣立つまでを他人(鳥)に任せてしまうそうです。ある意味、賢いですよね。
では、巣を作る鳥は、どうやって巣を作っていくのでしょう。
「鳥というのは、私たち人間とちがって〝手〟がないんですね。手が〝ツバサ〟になってしまったので、その代わりをどこで行うかというと〝くちばし〟なんです。そのくちばしで巣を作るわけなんですが、それがまたすごいですよ」
巣にもいろいろ種類があり、鳥の種類だけ違うとか。作る場所も違う。巣を作るために使う材料を〝巣材(すざい)〟と言いますが、それも全然違う。形もいろんな形があるそうです。
人と一緒に暮らす鳥たちの巣に迫る!
「まずはスズメの巣を見て行きましょうか。スズメは基本的には、藁(わら)のような枯れ草を使います。そして、卵を産む周りに鳥の羽根などが使われています。都会に住むドバドの羽根や、カラスの羽根です。人間と暮らしているということがわかる巣材として、ビニール紐なんてものも使っているんですよ」
これらの巣材をただ置いていくのではなく、丁寧にひとつひとつ編んでいるのがわかります。そうでないと、巣の形にはならないのです。これをくちばしだけで作っているのだとしたら、一体どれだけ大変なことでしょう。
「都会の真ん中にあるお屋敷にも巣箱をかけているんですが、これはそこで回収したシジュウカラの巣です」
こちらは、またスズメの巣とは質感が違う、フワッフワのモフモフの巣です。
「巣の下には苔(こけ)をつかっています。苔なんて都会のどこにあるの? と思いますが、鳥の目線で見てみると、結構あるんですよ、都会にも。一度にくちばしで持ってくることができる量なんてほんの少し。それを一生懸命、集めて運びます。
そして、〝産座(さんざ)〟というヒナが乗る部分は巣材を変えています。猫だとか、犬の毛でフワフワにするんですね。たまにきれいな色が入っているのですが、これがそのお屋敷の……赤い絨毯です。掃除をする人が、掃除機のゴミをパンパンと払うと、そこへジジュウカラが飛んでいって、持っていっているようなんですね」
その姿を想像してみるだけでも「かわいい~!」と思いませんか? 私たち人間のすぐそばで、私たちの知らない間に、鳥たちは自分たちのやるべきことを一生懸命に行っているんですね。