ソトラバで連載コラムを書かせていただいている井上ゆずです。私は名古屋に生まれ、上京して普通に就職し、異業種転職を繰り返した後、2000年に飼い猫とともにカリフォルニアに……。
サンフランシスコから始まり、ベイエリア内を転々としながら、生きている間に好きな場所に住みたいと思い、2年前にアメリカ・カリフォルニア州のヨセミテ国立公園の近くに引っ越してきました。今回は、アメリカではしばしば発生する山火事について書きたいと思います。
残念ながら放火による山火事も多い
日本でもニュースになることがありますが、私が住むカリフォルニアでは大きな山火事が発生します。夏は最高気温が40℃ぐらいまで上がり、雨がほとんど降らないことから、落ち葉や草木が乾燥して、非常に引火しやすい状態になります。
山火事が発生する原因は、落雷などの自然発生によるものもありますが、芝刈り機で草に火がついたり、トレーラーの走行によるタイヤと路面の摩擦から出火することもあります。電線や電力施設による火事も一時期は数多くありました。そして驚いたことに放火も多いのです。
生きた心地がしなかった近所での山火事
私の住む地域では火事が多く、山や町で煙が上がっている光景は決して珍しくありません。あまりに頻繁なので、飛行機や消防車の音で「近くで火事かな?」と察することができるようになりました。
昨年と一昨年は、家から炎が見えるほど近くで燃えて、生きた心地がしなかったほど。ちなみに火事により火の手が近づくと、電話とメールで避難アラートが届きます。
初めてアラートが届いたときは、さすがに動揺してサバイバルできるようにと寝袋やキャンプ道具、食料、あとはネコの世話グッズをかき集めてクルマに詰め込みました。
火は近づいてくるし、避難所はなぜか自宅よりも火に近いし、「一体どこに避難すればよいのだ?」と思い外に出ると、近所の人達が集まっていたので、とりあえず話を聞きに行くことにしました。
疎開用のキャンプ道具より貴重品や金目のモノが大切
ご近所のみなさんは非常に慣れた感じで落ち着いており、『引っ越してきたばかりだからびっくりしたでしょう……』とお気遣いいただきました。こうしたご近所の方々の存在は大きく、おかげで心を落ち着かせることができました。
同時にアメリカでも、田舎暮らしするにはコミュニティが大事なんだと実感。落ち着いて考えてみると、近隣の宿や友人宅に滞在するという選択肢や買い物もできるし、避難所でのキャンプがマストではないことに気付いた次第。本当に持ち出すべきは、キャンプ道具なんかではなく、貴重品や金目のものだとつくづく感じました。