日差しが段々と強くなるこの季節。海や山、川などアウトドアのシーンで気になるのは紫外線による「目の日焼け」です。そもそも目に対して太陽光はどのようなダメージを与えるのか、快適にアウトドアを楽しむためのサングラスの選び方などを、眼鏡作製技能士の国家資格を持つ、兼子寿樹さんにお話しを伺うシリーズの第1回目です。
まずは光の種類について知っておこう
太陽の光には、目に見える可視光線と、目に見えない赤外線や紫外線が含まれています。光の単位はnm(ナノメートル)という波長であらわされますが、紫外線(以下、UV)は地表に届く光の中で、もっとも波長の短い光で380nm以下。可視光線は380~780nm、波長の長い光、赤外線は780nm以上です。
UVはさらにUV-A 、UV-B、UV-Cの有害光線に分けられます。UV-Aは目のレンズの役割をする水晶体に影響を与え、白内障を引き起こす原因となります。白内障は水晶体が濁る目の病気で、その要因は加齢がいちばんですがUVの影響により発症、進行しやすくなると言われています。
またUV-Bは、いわゆる「黒目」の表面組織である角膜に影響を与え、角膜炎を引き起こす原因になります。角膜炎は、強いUVを浴び続けると角膜に炎症が起き、目に強い痛みが出ます。スキーや海水浴などで、長時間、目がUVにさらされると発症する場合が多いと言われています。そしてUV-Cも有害光線ですが、これに関してはオゾン層に吸収されるので人への影響は心配ないとされています。
UV=紫外線が増える時期や時間帯などに気をつけよう
さて、日常生活のなかで私たちは、どの程度UVにさらされているのでしょうか。まず、屋内は屋外の10%以下なので、気にしなくてよいでしょう。やはり問題は屋外です。日陰は日向の50%以下。高さで言うと、高度が1000m上がるとUVは10~12%増加。緯度で言うと、緯度が低くなり南へ行くほどUVは強くなり、1年で見ると、日本はおおよそ4~9月の間に1年間に浴びるUV量のうち70~80%がふり注ぎます。1日で見ると、正午を挟む10:00~14:00までの間が強くなります(※環境省紫外線環境保健マニュアル2020)。