夏のイヤなものの代表格といえば、蚊。気温が高くなってくると一気に増えるこの生き物に、いつの間にか刺されていた、なんてことはよくあります。刺された後のかゆみはとても不快ですよね。
では、刺されるとなぜかゆくなるのか、知っていますか? そして、なぜ蚊はあまり気づかれずに人を刺すことができるのでしょうか。
今回は、かゆみと蚊の針の仕組みについて、金鳥の渦巻や虫コナーズなどの「KINCHO」の商標でおなじみの、大日本除虫菊株式会社 宣伝部の笹岡さんにお話を伺いました。
蚊に刺されたかゆみは唾液注入によるアレルギー反応
「あのかゆみは、蚊の唾液が原因です」と笹岡さんは言います。
「蚊は、人間の毛細血管に針のような口を突き刺して血を吸いますが、この時に唾液を出します。この唾液にはいろいろな成分が含まれていて、人体に入るとその部分がアレルギー反応を起こし、かゆく感じるのです」(笹岡さん)
アレルギー反応とは、本来は無害なはずの物質に対して免疫が過剰に反応すること。花粉やダニ、食品に対してよく聞く言葉ですが、蚊に刺されたときのかゆみもアレルギー反応のひとつだと知っている人は多くないかもしれません。
アレルギーであるからには、生まれたばかりの頃はまだ抗体がなく、刺されても反応しなかったり、年齢や刺された回数、体質によって症状の出方が異なったりします。
それだけでなく、稀に1週間以上かゆみがおさまらなかったり、ひどい腫れをともなう強いアレルギー反応が起こったりすることもあるのです。
【蚊の秘密兵器.01 】痛みを感じさせない! 麻酔作用のある唾液
それでは、蚊に刺されたことに気づかない場合があるのはなぜでしょうか?どんなに針が細くても、体に刺されているのだから痛みを感じそうなものです。笹岡さんにお聞きしてみました。
「蚊の唾液にはいろいろな成分が含まれている、と先ほど言いましたが、そのひとつが痛みを感じさせない麻酔作用なんです。これが、針を刺したあとすぐに人間の毛細血管に注入されるので、刺されたことに気づきにくいのです」(笹岡さん)
ほかにも蚊の唾液には、血が空気に触れて固まるのを防ぐ作用もあるとのこと。蚊にとっては、「さあ血を吸うぞ!」というときに生き物に気づかれてしまったり、血が固まって吸えなくなってしまったりしては生き残れません。
小さい体に、血を吸うためのこんなにも都合のよい機能が備わっていることに驚くばかりです。