山登りやハイキングは大好きだけど、いつも早々にバテて、歩くペースが落ちてしまうという人は少なくないでしょう。また、体力に自信がないから登山は無理だと敬遠している人もいるかもしれません。一緒に出かける仲間に迷惑をかけてしまうかもしれないと、不安にもなりがちですね。
でも、ご安心を! きちんと準備をして、歩き方のコツなどを覚えておけば、そういった不安は解消できるはずです。ここでは、山登りのベテランである打越俊浩さんに、バテない対策を教えていただきました。
睡眠不足や準備不足がバテる大きな要因
昨今は、多くの人が気軽に登山を楽しんだり、ハイキングに出かけたりしています。ただし、「低山ハイクでもそれなりに体力は使いますから、運動不足の状態で入山するとバテバテになってしまいます」と打越さん。休日のレクリエーションとはいえ、普段から積極的に体を動かすように心がけ、山に登る基礎体力をつけておくことが重要です。
また、山歩きの途中でバテてしまう原因は、運動不足だけではありません。睡眠不足や栄養不足なども要因となります。「前日は十分に睡眠を取って、当日の朝は腹八分目で朝食を摂るなど、しっかりと準備や栄養補給をしておくことが大切です」(打越さん)
歩幅や姿勢など歩き方を改善することも大切
普段からそこそこ体は動かしているし、万全のコンディションで臨んでいるのにバテやすいという場合、原因として考えられるのは「歩き方」です。
登山道は、傾斜があったり、未舗装だったりと、足元のコンディションは非常にラフなので、普段と同じ感覚で歩くと、体への負担が大きくなるのは当然です。そこで、「山歩きのときは、いつもより歩幅を短くするように心がけましょう。大股で歩くとふくらはぎにかかる負担が増えて、疲労蓄積の原因となります」(打越さん)
また、足の接地の仕方にもコツがあります。「かかとからではなく、シューズの底全体で接地するようにしましょう」(打越さん)。とくに、滑りやすい下り坂では、かかとからの接地はスリップしやすいので要注意です。
登りの場合は、やや前傾姿勢を取ることで、足への負担が少し軽減します。「荷物(ザック)が重いと感じたときには、前傾姿勢を意識すると楽に足が運べます」(打越さん)
呼吸法やエネルギー補給法も覚えておこう
それでは、歩きながらできる、その他の対策を挙げてみます。まず、歩いていて疲れを感じてきたら、呼吸を意識しましょう。「呼吸が少し荒くなってきたら、息を吐き出すことに意識を向けてください。肺に残った空気をしっかりと吐き出せば、自然と空気が肺の中に入ってきます」(打越さん)
そして、休息するときには、腹式呼吸で鼻からゆっくりと息を吸い込み、口からゆっくりと吐き出すことを繰り返すと、呼吸を整えやすいそうです。
また、行動食も大切です。これは、歩きながらでも口にできる簡単な食べ物のこと。せんべいや梅干し、チョコレートなどが代表的ですが、「お腹が減ったから食べるのではなく、空腹を感じる前に少しずつ口にすることが重要です」(打越さん)
エネルギーを効率よく補給しておかないと、いわゆる“シャリバテ” 状態(血糖値が下がって、力が出なくなること)になって、一気に疲労が襲ってくるので注意しましょう。
なお、「パートナーと一緒、もしくはグループで行動するときは、会話をしながら登ると、意外と疲労が少なくなります」(打越さん)。ただし、話に夢中になって足元の注意がおろそかにならないよう気をつけてください。