空前のアウトドアブームのなか、車中泊もまた人気を博しています。2020年春に、この日本でも新型コロナウィルス感染症が全国的な拡がりをみせ、日本の生活様式ががらりと変化しました。なかでも密にならずに移動することができる「くるま旅」が注目され、キャンピングカー市場も拡大。それはキャンピングカーだけに止まらず、商用バンを改造したバンライフカーや軽四のバンを車中泊仕様に改造した軽キャンパーなど、車中泊できるクルマの形が多様化。
ウェブや雑誌では車中泊をテーマにした企画が人気を博し、どの媒体でも繰り返し特集が組まれています。「もう、聞き飽きたよ……」とお思いの方も多いことでしょうが、車中泊をするならどんなクルマが理想的なのかを「キャンプのハマリ度」を基準に考察してみましょう。
手軽な車中泊キャンプが人気
いま大流行の車中泊ですが、その魅力は何処にあるのでしょうか? その理由の筆頭は「手軽さ」であり、キャンプ場を利用することなく気軽に車内で泊まれるメリットが大きいことが挙げられます。車中泊はテントの設営・撤収を省けることはもちろん、布一枚のテントと比べて、安心感が高く季節的な要因に左右されない快適な空間として使用できることです。
一方、テントは「キャンプをしてるぜ!」という高揚感や充実感を味わうことができ、自然のなかで非日常を感じることができるのです。車中泊では味わえないロマンがテント泊には存在し、テントに泊まりたいがためにキャンプに行くという人も少なくはないのです。
車中泊を楽しむ人は決して手抜きのキャンプをしたいワケではなく「クルマに泊まる」という行為自体が楽しく、大きなアウトドアイベントとして楽しんでいる車中泊キャンパーが増えています。そうなると、必然となるのが「クルマ選び」であり、広い室内を誇る商用バンや乗用ミンバンが候補に挙がってきます。車中泊を含めたキャンプは「自分が楽しければ正解」であり、クルマ選びも自分のスタイルに合わせて選ぶのが正しい選択となるのですが、どのクルマにしようかと悩んでいるのなら、本稿を参考にしていただければ幸いです。
商用バンと乗用ミニバンの大きな違いとは?
今回のテーマは「商用バン vs 乗用ミニバン」の図式ですが、アウトドアやキャンプのハマリ度によって考えるのが重要です。毎週末や大きな休みには必ずはキャンプに出かける人を『ハマリ度90%』、月に1~2回はキャンプに出かけ、春夏の連休もキャンプに行く人を『ハマリ度60%』、年に数回、季節の良い時期にキャンプを楽しむ人を『ハマリ度20%』とするならば、示した数値が商用バンのおすすめ度と比例することになります。
商用バンの魅力は装備の質素さであり、それゆえに自分でカスタムしながら道具箱として愛車の機能性を高めることができること。対して、乗用ミニバンは快適なシートを取り外してベッドや収納棚などを入れ替えるのは心が痛みますが、安価なシートや内装を取り外してリメイクできる商用バンは最適な車中泊カーの素材でもあります。
とはいえ、商用バンのデメリットは断熱・防音素材が脆弱であり、室内はエンジン音が車内に響きわたり、夏は暑く、冬は寒いこと。運転席や助手席のリクライニング機構が装備されていないモデルも存在し、装備面でのチープさはやはり否めません。それだけにDIYを目的としたハマリ度の高い人に好まれる傾向にあるというワケです。
もちろん、商用バンの荷室は広く積載性にも優れているため、MTBやロードバイク、釣り、クライミング、カヤック、カヌーなどの趣味を支える常設の秘密基地として活躍してくれるはずです。より良いロケーションを求めて移動するサーフィンや釣りなどを趣味に持つ人にとって、テントの設営や撤収の必要がない車中泊は大きな武器になるワケです。遊び道具が満載できて、砂や泥などの汚れを気にせずに使える商用バンを趣味人たちが選ぶ理由は、ここにあるのです。