みなさま、こんにちは。群馬県の北軽井沢エリアで、樹種が豊富で鳥の鳴き声がよく響く自然豊かなキャンプ場「-be-北軽井沢キャンプフィールド」を運営している佐久間亮介です。私のやり方に再現性はないかもしれませんが、土地探しからオープンまで何を考え進めてきたのかをお伝えします。これからキャンプ場を経営したいと考えている方や、キャンプ場ってどういう経緯でできるのか? などご興味ある方はぜひ、ご覧ください。後編では、紆余曲折あった立ち上げから運営、キャンプ場に対する想いについてお話しします。
居抜きキャンプ場のメリット・デメリット
-be-北軽井沢キャンプフィールドは、居抜きのキャンプ場です。広さは約9400坪、寝転ぶと気持ちのいい芝生エリアと野趣あふれる林間サイトがあります。まさに、前述した条件に合致している場所でした。最初にここに来た時に「俺、ここでキャンプしたい!」と純粋に思った、とても気持ちのいいフィールドでした。
写真は、整備前の管理棟です。このように、居抜きのキャンプ場のメリットは、電気や水道などのインフラまわりや設備がすでにあること。これが一番のメリットです。設備が整っているのでやろうと思えばすぐにでも営業を開始することができます。森林を購入してゼロからキャンプ場を作ることも頭に入れていましたが、初期投資の金額がとても大きくなってしまいます。
土地を購入する費用に加えて、水をどこからもってくるのか、公共の水道を使うのか、井戸水にするのか、また汚水処理をする浄化槽の設置にも多額の費用がかかります。居抜きであればこのあたりの初期費用は基本的にはかかりません(とはいえメンテナンスの費用はかかります)。
ですが、居抜きの場合は、多くの場合デメリットが何かしら存在します。立地が悪い、施設が老朽化してしまった、狭すぎるなど、うまくいかない理由があるからこそ手放す人がいるわけです。
ここの場合は、水はけが大きな問題となって前任者の方が辞めてしまったそうです。たしかに、場内を歩いて回ってみると、一部エリアが湿地になっていたり、水の道が変わってしまったのか道路が川になっていたりもしました。
それらは現在進行系で改善中ですが、私の場合はそのデメリットを補って余りあるほどフィールドの雰囲気(木々の種類が豊富なところ、芝生がきれいなところ)が良かったので、ここでキャンプ場を始めることを決めました。
「準備:当日=9:1」オープンまでにやったこと
場所を決めたら、所有者の方と契約書を結びます。買い取りの場合もあれば賃貸の場合もあります。また、ここは周囲に民家があることから近隣住民へご挨拶に伺いました。所有者、近隣の方とコミュニケーションをとり、不安要素はなるべく排除して前にすすめてきました。
そしてフィールドの整備に取り掛かります。キャンプ場ですからここが一番大切です。3年ほど放置されてしまっていた、草を刈り運び、テントを設営するのに邪魔となる木の根を処理し、落ち葉もかき集めました。
倒木のおそれのある木々をプロに伐倒してもらい、高所作業車を使って枝打ちをします。木のあるキャンプ場では、どちらも安全のために必ずやらなければいけない作業です。
加えて、川になってしまっていた道路を直していきます。本来、水が通っていたであろうU字溝を見つけ出し掃除をして、U字溝に水が流れるようにします。
水はけ問題は現在進行系で改善中です。とくに雨の日に水の流れや溜まり場所がないかなど、よく観察します。原因を考え、仮説を設定し工事を行います。ここでは暗渠排水という、地下に埋めた水路で排水する方法をメインに、水はけの改善に取り組んでいます。ここまでは主に外作業です。
次は予約サイトの立ち上げです。電話予約やネット予約など、予約方法はさまざま。予約サービスも複数社あります。予約を受け付けるには、場内ルールや料金設定も必要です。予約サイトに掲載する写真も撮影が必要です。キャンパーさんを呼び込むためのSNSの発信も欠かせません。
いざ予約が入ってオープンを迎える直前には、区画の割り振りもします。当キャンプ場は区画サイトなので、GWなどの繁忙期はお客様のサイトを事前に割り振ります。これがまた楽しみのひとつ。子どもの人数や年齢層などを考慮しながら、どこに配置するのか。「夫婦やソロなら静かに過ごしたいだろうから林間がいいよなー」など。キャンパーさんにとって良き時間になるように最大限頭をひねらせながら割り振りをする時間も楽しいものです。
と、ここまでやってようやくお客様を迎える準備が整ってきます。他の仕事にも言えるかもしれませんが、成果が出るまでの事前準備がとても大事で、それを割合で表すならば「準備:当日=9:1」といっても過言ではないほど、キャンプ場の準備は事前にやることがたくさんあります。