梅雨が明ければ、本格的な夏がやってきます。昨今の猛暑を上回る日本の酷暑は、エアコンを付けていても熱中症を引き起こすことがあるなど、もはや生命を脅かす危険な状況と言えます。そんななか7月下旬には学童や学生は夏休みに入り、8月のお盆シーズンは渋滞に巻き込まれながら涼を求め、海や山、川や湖で海水浴をはじめとした、水遊びを楽しむ人も多いかと思います。
夏になると連日報道される痛ましい水難事故
不幸な水難事故は、なにも海水浴だけに限ったことではありません。キャンプで山へ出かけても、そこには川が流れ、湖もあり、おのずと水遊びをしたくなるものです。もちろん、家族で出かけた子ども連れのキャンプでは、釣りや川遊びするときは必ずライフジャケットの装着を促すことでしょう。
ただし、水難事故の予防策はライフジャケットの装着だけでは足りません。その理由は後述しますが、ここでは水辺のキャンプを題材に水難事故を未然に防ぐ方法を伝授いたします。
不幸な事故に遭わないための親の心得とは
夏を迎えた水(海)辺でのキャンプでは、キラキラと陽光を反射させる水面、躍動感にあふれる浜辺の風景、サラサラと流れる川の美しさは自然が生み出す偉大なる芸術です。ところが自然は、いつ何時「牙」を剥き出しにするかは予測できません。ちょっとした心の緩み、自然への敬意を忘れた瞬間に大切な「命」を失いかねない事故を起こすことになるのです。
水辺のキャンプを楽しむためにはしっかりとした心構えと事前の準備、そして自然からのメッセージを受信するアンテナを張り巡らせておくことが肝心です。そして、かけがえのない子どもたちにもしっかり自然からのメッセージを伝えることが大切。やり過ぎは問題ですが、少し脅かすぐらい強めに言い聞かせも良いかもしれません。
ここからは、ロケーション別に水遊びの注意点を解説していきます。
上流方面の空が暗くなってきたら要注意!【渓流の上流編】
渓流が近いキャンプ場では、天候の変化に注意することを心掛けてください。上流方面の山に黒い雲がかかっている場合には、急激な増水が起きる可能性があります。また、澄んでいた川の水が急に濁りはじめ、水面に葉っぱや枝などが流れてきた場合は、危険を知らせるサイン。上流側で大雨が降り、水位が急上昇する可能性があるので避難する準備を始めてください。
また、渓流で水遊びをする場合には子どもから目を離さず、くるぶしよりも深い場所には立ち入らないように注意すること。渓流の水温は夏場でも低く、見た目以上に流れが速いので子どもをしっかりと見守り、浅い場所で遊んでいても、ライフジャケットを装着させることが事故を未然に防ぐ有効な手段になるのです。
下流域では足を滑らせないように注意【中流・下流編】
流れが緩やかに見える中流、下流域でも川の流れは意外と強く、足を滑らせてしまうと簡単に流されてしまいます。護岸されている場所は安全に見えますが、水位の増減によってコンクリートが濡れていることも多く、コケや汚れによってズルズルと滑り台のように水に中に滑り落ちてしまう事故が多発しています。
滑りやすい護岸は緩やかな角度に見えても這い上がることが難しく、そのまま溺れてしまう可能性も高いということを覚えておきましょう。岸沿いに設置されている「ヘラ台」と呼ばれる釣り座は、放置されているものは木材が腐ってしまい崩れやすいものもあり、飛び乗った瞬間に水中に転落してしまうこともあるので注意してください。