岐阜県北東部、長野県との県境近くに位置し、北アルプスの山懐に抱かれた奥飛騨温泉郷。平湯温泉、福地温泉、新平湯温泉、栃尾温泉、新穂高温泉という五つの温泉地からなり、源泉の数は100カ所超えという温泉天国なのです。
総湧出量は毎分3万7000リットルと、国内屈指の豊富な湯量を誇り、泉質も多彩。
そのなかで、上高地、乗鞍岳、西穂高岳など、主要山岳地へのバスが発着するターミナルがあり、登山や観光の拠点にもなるのが平湯温泉です。日本百名山にも数えられる乗鞍岳の雄姿を仰ぎ見ることもできます。
キャンプ場を拠点に四季折々のハイキングを
標高約1250m、自然度の高い天然林からのフィトンチッドをたっぷり浴びつつ、キャンプを楽しめるのが平湯キャンプ場。約200張り収容のオートキャンプ場のほか、常設テントやバンガローもあります。
周囲の森は、ブナやトチノキ、カツラなど、多種多様な木々で構成されているため、春は柔らかな新緑のグラデーション、夏の滴るような緑が目にも鮮やか。秋には、紅葉・黄葉が入り混じった錦秋に彩られます。
四季折々に美しい森のなかに、歩きやすい散策路が整備されていて、ちょっとしたハイキングが楽しめることは意外と知られていません。
平湯バスターミナルと、外来入浴が楽しめる「ひらゆの森」の周辺を巡る、全長約2km「ひらゆの森周辺コース」。ゆったり歩いても1時間程度、ショートコースなら30分でも楽しめる、気軽なハイキングコースです。
樹齢千年を超す古木「平湯の大ネズコ」
「平湯キャンプ場」が登山口となるプチトレッキングコースもあります。こちらは、勾配もあり少し険しい山道になりますが、より植物を身近に感じられ、コース上に大きな見どころが二カ所、待っています。
平湯キャンプ場から、急な山道を登ること約30分。標高1420m地点に、突如姿を現すのが、「平湯の大ネズコ」と呼ばれている巨樹です。
樹齢約千年、日本の巨樹・巨木100選のひとつに選定されています。樹高23m、幹周7.6m。四方にたくましく枝を伸ばす姿は、神々しいほどの存在感に圧倒されます。
「ネズコ」とは、竈門炭治郎の妹にはあらず。クロベ、ゴロウヒバとも呼ばれる針葉樹で、木曾五木の一つに数えられている樹木です。良質の材として知られていますが、この大ネズコは、地元の貴重な財産として大切に保護されてきました。