別府のウラヤマ、鶴見岳の背後に位置する伽藍岳。いずれも活火山ですが、とくに伽藍岳は山頂近くに噴気孔があって、活発に噴気をあげていることから「硫黄山」の別名もあります。登山で訪れる人は、ほとんど〝湯布院の奥座敷〟と呼ばれている塚原温泉からアプローチするようで塚原温泉の駐車場から火口まではわずか5分、山頂まで登っても1時間程度。
登山としてはちょっと物足りないのと、別府市街に宿泊したかったことから、山に一番近い明礬温泉を起点に登ることにしました。温泉街から裏手の山の方へ進むと、登山口で出迎えてくれたのは……。

「活火山だから、注意してね!」という注意喚起看板。もちろん事前に気象庁のサイトで確認済ですが、現在の噴火警戒レベルは「1」。〝活火山であることに留意〟しながら登ります。登山口からしばらく歩くと、明るい草原エリアに出ました。

向かって左手が春先に「扇山火祭り」が行われる大平山(扇山)。右手がこれから登る鍋山です。毎年野焼きを行うため、樹林がない草原が維持されているようです。火祭りは夜に行われるので、山肌を這い上がる炎がとても幻想的だそう。一度見てみたいものです。奈良の若草山よりずいぶん規模が大きい気がします。

鍋山も山肌の一面が完全に草原。もしかして野焼きのエリアに入っているのかもしれません。樹林がないため、眺望は抜群。南東側の景色が広がっていて、海も見えます。

山頂の少し手前で草原エリアは終わって樹林帯に入ります。たぶん、この付近の植生がこの地域での自然な状態の植生なのだと思います。照葉樹が比較的多めの森で、山頂はまったく眺望がありませんでした。

鍋山からは伽藍岳の北東に位置する高平山から南へ伸びる稜線に合流して、塚原越えと呼ばれる峠へ。塚原温泉への道を左へ見送り、ひと登りすると伽藍岳の山頂へ出ます。

山頂感のあまりない草の生えた狭い場所ですが、眺望はなかなかよく今回登れなかった鶴見岳から続く稜線、右奥には前日に登った由布岳のシルエットもバッチリ見えてます。

絶景が楽しめる展望席という感じの岩があったので、そこでおやつタイムを。駅前で仕入れておいた今日のおやつは、地元ブランド「みどり牛乳」と大分の伝統食「やせうま」。

やせうまは今回初めて食べたのですが、ぶっというどんにきなこをまぶしたような感じのもので、素朴で優しい、なんだか懐かしい感じのお味。

調べてみると、平安の昔に都からやってきた鶴清丸という幼君が、乳母の「八瀬」におやつをねだるときに、「やせ、うまうま」と言ったことからつけられた名前なのだとか…。乳母は都の近くの八瀬童子の流れをくむ女性だったのかも?