2月は梅の花とロウバイが山の斜面を彩ります。梅は紅梅/白梅の純和風な彩りを楽しみ、ロウバイにはその芳しさに引き寄せられます。では3月といえば、ミツマタですね。和紙の原料として、お札の原料としても知られています。黄色く愛らしいポンポンのような花が、これからは山野に色を添えます。ミツマタの名峰は全国でも数あれど、関東でオススメの3山を紹介します。
マニアックな群馬の山にあるミツマタの桃源郷
群馬県の山といえば百名山の谷川岳をはじめ、妙義山、赤城山、荒船山などの名峰が多々ありますが、屋敷山という名の山名は聞き慣れない方もいらっしゃるかと思います。桐生市の奥まった栃木県との県境にほど近い梅田町にその山はあります。
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県道337号先の根本山登山口前にある駐車スペースは、その時期はほぼ屋敷山のミツマタ目当てのハイカーのクルマで埋まります。県道は林道としてそのまま渡良瀬渓谷へ通じていますが、駐車場手前までは一部隘路になっていたり、舗装割れや落石もあります。その林道斜面にミツマタの大群生地が広がっています。
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圧巻の光景です。林道脇にある登山口から下ります。群生地内には数本のルートが自然と作られているようです。この屋敷山のミツマタ群生地は、地域の方々による自然管理で保守されているようです。
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群生地内にはカメラ台も設置され、確かにその場所からは圧倒的なまでの黄色の絨毯が広がります。おそらく、関東でも最大級の群生地ではないかと思われます。手折るなどのマナー違反は厳禁ですよ。
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栃木ではミツマタのトンネル歩きを楽しめる
栃木県は茨城県との県境寄りにある焼森山(やけもりさん/やきもりやま)がオススメです。標高420mの焼森山は隣り合う鶏足山(標高430m)とセットでの縦走も楽しめます。
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焼森山のミツマタ群生地は戦前に紙の原料として植えられたものが、戦後には存在を忘れられてしまっていたそうです。ところが2005年に学校建設の話が持ち上がり、杉の間伐が行われ、ミツマタの谷に陽が入るようになった事で群生地が広がったそうです。
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町有林の沢沿いに広がる約3000平方メートルの群生地は、盗掘防止のために町から特別保護指定を受けています。そのため保全協力金として有料鑑賞となります。
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群生地内は鑑賞ルートが敷かれ、一部にはミツマタのトンネルもあり、下から黄色いポンポンを見上げることができます。スギ林の谷に広がる鮮やかな黄色。樹林から差し込む陽光が、余計に鮮やかな色彩をひきたてます。登山でなくとも楽しめるのが焼森山のミツマタ。バスツアーも組まれるほどに人気な理由がわかります。
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