ソトラバ

世界でココにしか咲かない花がある! 360度パノラマ展望の桐生の双耳峰「鳴神山」登山は絶景の宝庫だった

楽しい外遊びはソトラバで。アウトドアWEBメディア Soto Lover


群馬県桐生市の北に位置する双耳峰の鳴神山(なるかみやま)は桐生市を代表する山で、雷神(なるかみ)が住む山は地元では古くから山岳信仰の山として知られています。鳴神山が全国的に知られるのは、駅にほど近い吾妻山から峰をつなげる桐生アルプスの主峰であることと、世界でも希少なカッコソウが自生する山ということにあるかと思いますが、その山頂からの絶景も魅力です。

登山口が豊富だからリピートの楽しみがある鳴神山

鳴神山は標高980mの低山で、桐生市北部に聳える双耳峰です。JR桐生駅を軸に、駅から徒歩圏内にある吾妻公園が登山口となる、吾妻山からの縦走コースの鳴神吾妻ハイキングコース(桐生アルプス)を伝うか、桐生駅北口からの地元のコミュニティバス路線のおりひめバス梅田線を利用する大滝登山口ルートか、同バス川内線の終点吹上から入る駒形登山口の3ルートを選ぶことになります。さらには、北側を走るわたらせ渓谷鐵道・神戸(ごうど)駅からのルートを選ぶことも可能です。

ただし、最後に紹介した神戸駅からのルートは、道迷いの恐れもある上級者ルートなのでオススメはできません。いずれにせよ、大滝口か駒形口の2ルートは公共交通機関利用でピークを踏むことができますし、両登山口ともに無料駐車スペースも用意されているので、マイカー利用の登山者が多いのも頷けますね。大滝口の先にもこつなぎ橋登山口があります。カッコソウを愛でるなら、マイカー利用者はこちらの方が便利でしょうね。

鳴神山の登山ルートの大滝、駒形の2ルートは、いずれも沢や大小の滝を眺めながらの山行となり、せせらぎや落水の涼やかさとともに標高を上げていきます。ここでは駒形登山口ルートからの入山です。

緩やかな沢の渓谷や苔むす岩場を登り避難小屋まで

登山口から程なくの白滝橋を渡り、ゴルジュを思わせる沢の渓谷を歩きます。1ヵ所だけロープのある第1石門の木札が置かれた苔むす岩場があります。危険ではないですが注意は怠らないように。脇には小さな滝。涼を感じる休憩ポイントかと思います。

ところどころにグリーンネットで覆われた植生保護柵が置かれています。山頂手前の肩の広場の避難小屋で「雷神山を愛する会」が募っている、希少種保護復活の寄付金によりネットで囲い、シカなどからの獣害対策としているそうです。山を愛する市井の方々の地道な努力により、鳴神山の豊かな自然が守られているのですね。

肩の広場には「なるかみ小舎」の屋号を掲げた避難小屋があります。その先に狛犬と鳥居。登山道は参道でもあるということですね。この肩の広場で反対側の大滝からの登山道と合流します。

双耳峰の山頂からは北関東の名峰をパノラマ眺望

カッコソウの自生地はルート案内板などによると、山頂に向かう途中の分岐から椚田峠を経て、こつなぎ橋ルートの先に向かったところに移植されています。5月には薄紫色の花を咲かせるサクラソウ科の花を愛でに、多くのハイカーが訪れるようです。

鳴神山は双耳峰ゆえ山頂が二つあります。まずは鳴神山頂の鳥居と祠が置かれた桐生岳へ。ベンチの置かれた山頂は360度パノラマ絶景が待っています。

もっともひらけた北東方面には皇海山、日光白根山、男体山の百名山トリオに太郎山、女峰山の日光連山を捉えることができます。山座同定のために立てられている標柱には7枚の矢板が打ち付けられており、晴れていれば関東の人気の峰々はもちろん富士山、八ヶ岳まで見ることができるようです。

もう一方のピークとなる仁井田岳では赤城山の勇姿を捉えることができるようです、取材日はあいにく西側の空が霞んでしまい、うっすらとシルエットを確認するにとどまりました。

仁井田岳山頂は木々が遮り、西側のみの眺望となります。開放感を楽しみながらの休憩なら、桐生岳山頂の方が開放感といいくつろげると思います。