1970年当時、軽自動車で唯一の本格4WDとして登場したジムニー。ラダーフレームなどの本格四駆性能は初代から現在に至るまで継承され、日本だけではなく世界中で愛されているクルマだ。また、日本の道路事情とはまったく違う辺境の地に住む人のための移動手段や、過酷な環境で働く人たちの道具としても使われている。
そんなリアルオフローダー ジムニーから、今春4月3日に5ドア仕様のノマドが新たに発売されることとなった。
リアシートの座り心地が大幅改善! リアからの乗降性もひと工夫あり
初代が登場してからずっと、「乗りたいんですけど、後席用のドアがないのがネックで……」という声を聞いてきたと開発者は言う。ちなみに、こういった意見が出るのは主に家族層で、「チャイルドシートが取り付けにくい」「子供が後席に移動する際に、前席のシートを踏んでしまって汚れてしまいそう」など、利便性や居住性の面で気になるとこさろを口にする人が多かったそうだ。
以上の理由により渋々ジムニーを諦めてきた人もいたため、それならばと登場したのが、基本的なコンセプトは変更せずに、日常使いがしやすいようにリアドアを追加したグレード ノマドだったというわけだ。
まず注目したいのは、ホイールベースの延長だ。それにより、身長158cmの筆者がとりあえず座れるという感じだった後席は、膝回りのスペースもたっぷり&シートが厚くなっているため座り心地も◎。さらに、後席の乗り降り時に、ふくらはぎが当たらないようにリアシート角を大きくカット、膝がぶつからないようにリアドアトリム前端とBピラートリム後端を面取りし、スムーズに座れるように徹底的に作り込まれていた。
なぜ、ここまで細かく手を加えたのかというと、ランプブレークオーバーアングルを極力スポイルしたくないという、いわばジムニーらしい走行性能を尊重したかったからとのことだった。
後席改善により生じる「ネガ要素」も純正アクセサリーでフォロー
荷室に関しては、4名乗車時の荷室床面長がジムニーシエラに対して350mm拡大されたため、ベビーカーやテントなどのキャンプグッズも積めるようになっている。
そういえば、コロナ禍真っ只中に雑誌の企画でキャンプに行った時に、インスタ映えを狙ってAmazonで購入した「Camp」という文字型ライトを持っていこうとしたことがあった。撮影日に間に合わせるためにお急ぎ便にしたのに、どう頑張っても積めなくて持っていくのを諦めたが、このノマドならいけそうだ。それくらい収納スペースは広くなっているし、あのライトがあるのとないのとでは、写真の仕上がりが大分違ったはずだ。
話を戻して、シートを厚くした関係上、ジムニーシエラのように後席を倒した際にフルフラットにはならなくなったものの、純正アクセサリー(ラゲッジボックス:税込2万9700円)でそれを補えるなど、実に日常使いについてよく考えられている。
ほかにも鉄板剥き出しだったリアウインドウにクォータートリムが追加、天井にルームランプが装着されるなど、全体的に乗用車らしさが増しているが、他グレードとほぼ変わらない走行性能を維持していることに開発者のこだわりを感じる。というか、もともとポテンシャルの高いジムニーからすると、よほどの“酷道”ではない限りノマドで走れない道はないはずだ。
最後に開発チームの縫村さんにノマドへの期待を聞いたところ「ノマドの登場で新たなターゲット層を取り込み、ジムニーというクルマでカーライフを楽しめる人が増えてほしい」と話してくれた。
キャンプに街乗りに、タフに様々なシーンで確約してくれそうなノマド旋風が巻き起こることは間違いなしだ。
【詳しくはこちら】
スズキ
https://www.suzuki.co.jp/car/