関東の人気登山スポットのひとつである丹沢。なかでも大山を主峰とする東丹沢は、大山では1年を通じて訪れるハイカーが多いのですが、それ以外の峰々には春〜秋に足を運ぶ登山者が一気に減ります。実は東丹沢は山ヒル王国と言って差し支えないほどに、油断大敵なゾーンとして知られています。なので、この冬の時期こそが東丹沢のハイシーズンとなります。ならば、クリスマスの季節ならではの東丹沢トレッキングを山ヒルを気にせずに楽しみませんか?
数多くある登山口へは路線バス利用可能と利便性も高い
仏果山(ぶっかさん)は神奈川県唯一の村・清川村北部にある標高747.1mの低山。地元では古くは隣あう愛甲郡半原の地名から半原富士とも呼ばれていました。低山といえども、この山はなかなかにハードな登山道で知られ、かつては修験の山であったことを身を以て体験する、登りごたえのある山として知られてもいます。
登山口は丹沢らしく複数入り乱れてありますが、代表的なのが野外センター前バス停、撚糸組合前バス停、半原バス停の東側からと西側の宮ヶ瀬湖畔にある仏果山登山口からのいずれかと思います。いずれのバス停も小田急線・本厚木駅からの神奈川中央交通の路線バスが利用できるので、バスダイヤを効率よく使った登山計画の立てやすさでも人気があります。
また、仏果山を軸とした相州アルプスとしても縦走を楽しめるので、登下山口のバリエーションは一層豊富なものになります。登山口を変えることで違う一面を見ることもできるので、年度ごとに詣でるハイカーも多いかと思います。
東丹沢北部群嶺の主峰、仏果山からは360度大パノラマ
山頂には約10mの高さの展望台が設えられ、そこからの眺望は360度の大パノラマを楽しむことができます。西側には丹沢の主役たちが峰々を重ねます。
南端には山頂の鉄塔まで視認できる大山と大山三峰が前衛峰として第一列に並び、その後ろに居並ぶは北に向けて二ノ塔〜三ノ塔から烏尾山、行者ヶ岳、新大日〜塔ノ岳の表丹沢オールキャストが峰をつなげ、日高〜竜ヶ馬場から丹沢山へ続く丹沢が誇る稜線を目で楽しむことができます。そしてわずかに山頂をのぞかせる蛭ヶ岳、姫次〜黍殻山の北東部のロングルートに想いを馳せることができます。
その手前には宮ヶ瀬湖がエメラルドグリーンの湖面で色を添えます。北側には奥多摩、高尾山の首都圏山塊が続き、広大な関東平野が東北から東〜南へと広がります。
南側の主役は横浜〜湘南の街並みときらめく陽光がまぶしい相模湾が広がります。空気の澄んだ冬ならではのクッキリした360度パノラマは、同展望台ならではのモノ。にっくき山ヒルに襲われる心配もないですしね。
加えて、12月中旬以後なら登山口では氷花の群生を見ることもできます。熱暑の令和6年度は未だに氷花を見たという声が聞こえてきていないようですが。