和歌山県で最大級のため池「亀池公園」。海南市阪井に位置するこの池は、満水面積約13万㎡・貯水量約54万㎥・堤の長さ98m・高さ16mにも及び、約4kmある外周は遊歩道になっています。春には約2000本の桜が咲き誇ることから、桜の名所としても有名です。
桜だけでなく紅葉も美しいという噂を聞きつけ、ハイキング歴20年以上の母とビギナーの私で、秋の亀池公園をぐるりと1周する約1時間30分のコースを散策してきました。
県下唯一の「ため池百選」
ため池とは、農業用水の安定的な確保を目的に人工的に造成された貯水池のこと。全国には約21万カ所のため池があり、その多くが江戸時代以前に造られたといわれています。
農林水産省が全国のため池から、歴史や景観などの要素を加味して優れた100カ所を選び「ため池百選」として公表しています。そこで、和歌山県で唯一選ばれているのが亀池公園です。
名前から想像してカメっぽい輪郭の池なのかな? と思いきや、足の本数はカメより多そう。後半になるほど池の外周はくねくねと曲がっています。生き物に例えるなら、カメよりタコに近いかもしれません。
亀池公園は、生石(おいし)高原県立自然公園の一角に当たり、自然が豊か。コースの序盤は舗装路が主線ですが、ときどき小道の入り口がひょこっと現れ、池沿いの山道へ寄り道してはまた主線に戻り……を何度か繰り返せるようになっています。
紅葉のアーチと森の小道
訪れたタイミングは紅葉シーズン真っ只中! 緑から黄色、赤へとグラデーションを見せるもみじ。見上げると、太陽に照らされて透き通った葉が美しく、思わず何度もカメラのシャッターを切りました。
紅葉のアーチが美しい主線と、森の中へいざなう小道。その両方を味わいたくて行ったり来たり。その経路を毛糸にすればマフラーでも編めてしまいそうなほど、存分に寄り道を楽しみながら進みました。
気づけば母は、どこからか折れた枝を見つけて、即席のトレッキングステッキ代わりに。えっへんとした顔で「杖が大事なのよ」と重要性を説くわりに、私がいつも初心者向けのコースを選んで誘うためか、専用の杖ではなく天然の杖で済ませがちな母です。
空中散歩の吊り橋を渡って中島へ
ほどなくして、目の前に吊り橋が見えてきました。たもとには「安全のため、40人以下でお渡りください」「天候により通行禁止とする場合がございます」の貼り紙。そんな大袈裟な~と思うなかれ。2人で渡るだけでも、なかなか揺れました。
吊り橋の足元は網目状になっているので、まるで空中散歩! 紅葉する山々を借景に、キラキラと日光を踊らせる水面の真上を歩いているようでした。橋の先にあるのは、亀池公園の中央に造られた中島です。