北関東圏での紅葉狩りの人気スポットの一つである茨城県高萩地区の花貫渓谷。吊り橋のある紅葉並木の散策が家族連れや高齢者の軽ハイクに人気です。見頃はまだ先かと思いますが、11月ともなれば平日も駐車場待ちの渋滞がお約束になります。その花貫渓谷に寄り添うようにひっそりと佇む低山で、紅葉狩りと渓谷&吊り橋渡りの映え登山を狙ってみませんか?
アクセス不便でも周囲はキャンプ場銀座
花貫渓谷は一度ならずとも目や耳にしたことはあるかと思いますが、本稿で取り上げる土岳はほぼ見覚えもない山ではないかと思います。ちなみに山名は「つちだけ」ではなく「つちたけ」と読みます。土岳へのアクセスは少々難があり、困ったことに地元高萩市観光協会HPでもJR常磐線高萩駅からタクシーないしは常磐自動車道高萩ICよりクルマでの2表記のみの案内で、公共交通機関による最寄駅やバス停が見当たりません。それだけにマイカー派には美味しい存在かもしれません。
実は土岳の麓には複数のキャンプ場が点在しており、最も至近のけやき平キャンプ場からわずか30分程度、吊り橋に近い小滝沢キャンプ場からでも1時間そこそこで山頂が踏めます。もちろん、花貫渓谷の周辺にも多数駐車場があるので、キャンパーでなくともクルマでなら秋は紅葉と味覚を同時に楽しめるとイッキに魅力度は高まってきませんか?
草原の山頂からの絶景ランチ
ここでは最寄りとなる花貫駐車場から吊り橋経由で土岳に向かいます。花貫川沿いにある駐車場は、紅葉シーズンの盛りに催される紅葉祭り期間中は有料です。駐車場から程なくで汐見滝吊り橋。滝といっても、実はこぢんまりとした小さな滝が複数せせらぎで連なっています。沢を落ちる滝の音に背中を押されながら、この吊り橋を渡った先に土岳登山口はあります。
それまでの人混みと打って変わって登山道に一歩足を踏み入れれば、静かなトレイルが伸びています。登山道は比較的整備されており、これなら登山慣れしていないビギナーハイカーでも安心して山頂を目指すことができる、そう思わせる快適なトレイルです。もちろん、木の根や岩場もありますが、道迷いするところもなくコンディションは優れているかと。
数少ない急登部を経て尾根道から山頂に飛び出るや、目の前には見晴らしのいい草原が広がります。展望台も置かれています。山頂には東屋もありますが、ビニールシートを敷いての山飯ランチには最適です。穏やかな陽射しの下なら睡魔に誘われても不思議ではありません。
山頂からは茨城県が誇る名峰の筑波山はもちろん、日立アルプスや日光連山も見渡せるようです。冬の晴れた日には富士山の眺望も期待できるそうです。山行時間にしてもピストンで約2時間といったところ。秋晴れの1日、タイミングが良ければ滝巡りと紅葉も楽しいゆったり低山登山はいかがでしょうか。