関西の奥座敷、有馬温泉からイワタバコが咲く谷を登って、六甲最高峰を目指す山行の【プチ滝登りとレアな名花を訪ねて! 名湯「有馬温泉」から標高931mの「六甲最高峰」を登る】の後編です。
白石谷はかなり深い谷で、流れの両脇は切り立った崖になっている部分も多い、険しい地形です。そして、大きな木が点在する豊かな森におおわれているため、緑陰がとても涼しくて、真夏であっても、都会の猛暑からは想像もできないほどの快適さでした。
ハイライトは白い竜を思わせる優美な滝
木陰の多い涼しい沢筋を辿りながら、いくつもの小滝やナメ滝を越えて、いよいよラスボス的な滝の登場です。その名も「白竜の滝」。
白石滝同様、数段で構成された滝で、やはり上部は屈曲して見えません。白石滝よりやや規模が大きそう。しばらくオブザベしてみたけれど、ちょっとビミョーだなぁということになって、巻き道を選択。いったん右手の支沢へ入って、ガレ場を越えて側壁を巻くようについている踏み跡をたどります。
傾斜はかなりきつくて、プチクライミングな感じ。残念ながらこの高巻きで、すっかり本流から離れてしまい、水線にはとうぶん復帰できませんでした。
その先も、枝沢がどんどん分かれていくので、どれが本流かわかりにくいところもあるのですが、なるべく最高峰に近いところへ出られるようにルートチョイスをしていきます。そして、適当なところで脱渓して、あとは踏み跡を辿ってピークへ。
登山道として整備されているわけではない、自然発生的な道なのですが、誰かが道標をつけてくれていたりもします。夏場は笹薮が茂っているので、ちょっとマダニが心配。藪を抜けたらダニチェックをしなくては……。
静寂の北側斜面から一転、メジャースポットへ
途中、ほぼ誰にも会わずにたどってきた静かな白石谷でしたが、笹薮をかきわけながら最後の斜面を登っていくと、いきなり最高峰の広場に飛び出します。陰から陽へ。見事なくらいのスイッチです。なだらかな広場の真ん中に、「六甲最高峰」と書かれた柱が建っています。
標高931m。六甲山は、もともとは低い丘だったところが、「衝上断層」によって徐々にせりあがってできた山です。数十万年の歳月をかけて、かずかずの断層が動いて、急峻な斜面を持つ大きな山に成長しました。ちなみに、1995年の阪神大震災を引き起こした兵庫県南部地震のときも、最高峰の標高は12センチ高くなりました。
最高峰の南側には大阪湾が一望できます。六甲山が形成された「六甲変動」によって、六甲山が高くなった分、沈降してできたのが大阪湾です。この日はちょっと視程が今一つだったのですが、大阪府と奈良県の県境をなす山並みも見えていました。