兵庫県の南側に位置し、瀬戸内海に面した六甲山。神戸市・芦屋市・西宮市・宝塚市にまたがる、東西約30km、南北約10kmの山塊です。最も高いピーク〝六甲最高峰〟が931m、1000m級の山が都市圏に隣接している例はほかにはありません。
山麓のすべてが都市部であるため、どこからでも登れて、どこへ下山しても交通機関が利用できます。日帰りで楽しめるコースは無数にあるのですが、なかでも筆者がとくにお気に入りの山をご紹介します。その名も「荒地山」。いかにも荒々しい雰囲気が名前からも伝わるでしょうか。
まずは西国街道を見張る山城址へ
登山の起点となるのは阪急電鉄芦屋川駅。すぐ南を走るJR神戸線芦屋駅、さらに海側の阪神電鉄芦屋駅からも徒歩でアクセスできます。一番南側の阪神線からだと、プラス20分くらいでしょうか。阪急芦屋川駅すぐ北側の公園を通り抜け、芦屋らしい高級住宅街の中の坂道を登っていきます。
30分ほどで城山への登山口があり、山道へ入ります。街からすぐのウラヤマでもあり、毎日登る人もいるようで、いつ来ても、その日の日付が小石で書かれています。
六甲山では、「毎日登山」の拠点があちこちにあり、登山会も無数にあって、約5000人が取り組んでいるとされています。しかし、このエリアの場合は、そういう組織的な毎日登山ではなく、ソロで走りに来るトレイルランナーが多い印象。毎日気軽に山に行けるという理由で、この町へ転居してきたという人も実際に何人か知ってます。
登山口からほんの少し登るだけで、海を望む景色が楽しめるのも魅力です。
最初のピーク・城山は、戦国時代に山城があったというだけあって、展望抜群。西国街道と、瀬戸内海を航行する船も監視することができたのだろうと思います。ちなみに、城山というのは通称で、山名は「鷹尾山」。少し離れたところから見ると、山頂部が不自然な形状をしているのがわかります。
鷹尾山を北側へ下って、いくつか名もなき小ピークを越えていきます。荒地山から南東へ伸びる尾根筋で、わりと急なパートが多いですが、随所にビュースポットもあり、木陰もほどよくあるので、猛暑日でも快適でした。送電線が通る部分を越えてしばらく進むと、最初の関門である「岩梯子」へ。