コンクリートジャングルなんて言われる大都会でも、よく見るとあちこちでいろんな〝自然〟が息づいています。街中で出会える小さな自然を観察してみませんか? 今回は、初夏の頃、街中でよく見かける花を3種ご紹介します。
可憐なのにヘンなネーミング【ペラペラヨメナ】
耳で聞いても、字面を見ても〝なんかへん〟なお名前です。「源平小菊」、「無休菊」とも呼ばれています。葉っぱがペラペラで、ヨメナに似ているということなのですが……。
「源平小菊」は、赤い花と白い花が混じって咲くことから、赤旗白旗の源平合戦になぞらえた名前、「無休菊」の方は、花期が長く、絶え間なく咲き続けることからでしょうか。
元々は春から夏にかけて咲く花ですが、近年は真冬に咲いているのを見かけることもあります。
北米原産のキク科の植物で、観賞用に移入したものが広がって、本州の関東以西から四国、九州で野生化しています。咲き始めは真っ白で、徐々にピンク色に変化します。そのため、群落で見ると、白から淡いピンク、濃いピンクまで華やかなグラデーションを描いて、とても美しいです。
耐暑性、耐旱性があって、多少環境が悪くても生育するため、石垣のすきまなどでもよく見かけます。だんだん分布を広げ、関東以西のほぼ全域で見られるようになってきました。
なんだか艶っぽいネーミング【アカバナユウゲショウ】
感じで書くと「赤花夕化粧」。夕方になると紅を差しておめかしするイメージでしょうか。華やかな薄紅色が美しく、妖艶なイメージの花です。
夕方に咲いて朝にしぼむ、マツヨイグサと同じアカバナ科なので、混同されがちなのですが、じつはこの花は明け方に咲いて、夜になるとしぼんでしまう一日花です。
単に「ユウゲショウ」と言えば、オシロイバナや、マツヨイグサの別名でもあるのですが、同じアカバナ科の在来種「アカバナ」と似ているために「アカバナユウゲショウ」と名付けられたとか。なかなか見かけませんが、白い花のアカバナユウゲショウもあるそうで、それだと「白花アカバナユウゲショウ」とでも言うのでしょうか……。
四弁の薄い花びらには、よく見ると赤い筋が入っていて、繊細で可憐。見つけたら、ぜひ近くによってじっくり眺めてみてください。