旅の本屋「のまど」の店長が、店頭に並ぶ本のなかから、外に出かけてみたくなるキャンプ・アウトドア好きのための本を選びます。今回は、フィンランドの楽しみ方が満載の『週末フィンランド』をご紹介。フィンランドはサウナの本場でもあるので、アウトドアサウナ好きにとっても必見の一冊です。

映画『かもめ食堂』でブームになったフィンランド旅行

本書は、フィンランド旅行を思う存分楽しむためのお役立ち情報がつめこまれたイラストエッセイ本。

著者の岩田さんは、初めてフィンランドに訪れた際に本場のサウナに魅了され、以来、日本とフィンランドでサウナを巡るようになりました。そしてついにはフィンランド政府観光局公認のサウナアンバサダーにも任命され、フィンランドの魅力を紹介するこの本を書きあげたのだとか。

フィンランドには2006年に旅行したことがありますが、当時はフィンランドを舞台にした映画『かもめ食堂』が公開されて話題になり、ちょっとしたフィンランドブームが起きていた頃。首都のヘルシンキの街中では、何度も旅行中の日本人の女性と遭遇しました。

その頃のフィンランドはというと、マリメッコやイッタラといった北欧雑貨もしくは北欧インテリアが観光客に人気になっており、また映画『かもめ食堂』のなかでシナモンロールが登場したことで、北欧スタイルのカフェも注目を集めていました。あとは、ムーミンのゆかり地を巡る人も多かった記憶があります。

サウナの最高峰と呼ばれる「スモークサウナ」

本書の中では、トナカイの肉やサーモン料理といったフィンランドのグルメやヘルシンキの観光スポット、スーパーやアウトレットショップといったショッピング情報など、フィンランドの様々な魅力が紹介されているのですが、やはり一番の読みどころは、サウナではないでしょうか。

フィンランド政府観光局公認のサウナアンバサダーに任命されているだけあって、フィンランド各地にある公衆サウナやおしゃれな複合施設にあるものなど、様々なタイプのサウナを訪れている岩田さん。そんな彼女が友人に強くおすすめされて気になっていたのが、ヌークシオ国立公園の森の中にある、フィンランドの伝統的な「スモークサウナ」。

スモークサウナではまず、煙突のないサウナストーブで扉を開けたまま薪を焚いて、数時間かけて室内を暖めます。このとき、サウナ室に煙が充満するから「スモーク」サウナ。薪が燃焼しきったら小さな窓から煙を出し、十分に煙を逃したら入室OKです。

何時間もかけて室内を暖めるので、滑らかでやさしい余熱が特徴的。体がじんわりと暖まるスモークサウナは、原点にして頂点の〝サウナの最高峰〟といわれています。