平湯温泉キャンプ場をベースとして、「乗鞍山麓五色ヶ原の森」で楽しむトレッキングコースの後編です。
折り返し地点となる神秘的な池「雌池」から、今度はこのコースのハイライトである「布引滝」を目指します。
謎めいた一年を繰り返す神秘の池
こんなに満々と水をたたえた池が春には水のない状態になるとはちょっと信じがたいのですが、春から夏にかけてここは一面の草地になるのだとか。
雪解けの時期も、梅雨も関係ないそうで、渇水期と満水期が規則的に繰り返されるそうです。渇水期には、池の底に「オオアゼスゲ」という植物が一面に茂り、独特の景観となるそう。そして、夏になるとどこからともなく水がしみ出してきて、秋にかけてはこのような状態に。水がない時期に、また見に来てみたいものです。
このエリアは、乗鞍の山麓を形成する溶岩台地の一部で、火山から流出した溶岩の上にできた森。亜高山に近い寒冷地でもあり、植物にとっては、なかなか厳しい環境だそうですが、けっこういろいろな植物が生育しています。夏に白い清楚な花を咲かせるゴゼンタチバナが、可愛らしい赤い実をつけていました。
五色ヶ原の森をはぐくんだ「ゴスワラ」とは
五色ヶ原がある付近には、ごろごろとした独特の岩がたくさんあります。これらは、火山活動で流出してきた溶岩が斜面を流れ下りながら冷えて固まり、ブロック状の岩となったものだそうです。岩がゴロゴロとした独特の地形になっていて、これを地元の人たちは「ゴスワラ」と呼んでいます。
ゴスワラでは、有機質を含んだ土壌がほとんどないため、樹木の生育にはあまり適していません。岩の表面にコケが生え、そのコケを土の代わりとして樹木が根を張り、やがて岩をかかえこむように育っていくのだそうです。植物の生命力に圧倒されます。