本格スノーシーズンはともかくですが、桜の季節の訪れとともに迎える残雪期は、雪山登山を楽しめる期間でもあります。もちろん、雪山ですからそれなりの装備は必要ですが、本格12本爪アイゼンやピッケル、防寒冬靴などのアルパインスタイルでなくとも、3シーズン対応の登山靴+軽アイゼンで雪山登山を楽しめる山もあります。そこで信州の名峰に行ってきました。
桜の季節の訪れとともに迎える残雪期は雪山登山を楽しめる期間です。もちろん雪山では安全に登山を楽しめる装備が必須です。そんな残雪期に3シーズン対応の装備で、信州の名峰浅間山の外輪を訪れました。ここでは雪が織りなす絶景の魅力をご紹介します。
入山規制の浅間山の外輪山から雪が作る絶景を楽しむ
長野県、群馬県にまたがる浅間山(あさまやま)は現在活動中の活火山で、噴火警戒レベル2で火口周辺規制がかかっている山域です。浅間山は小浅間山、黒斑山、高峰山、そして湯ノ丸山あたりまで含む広大な浅間連山の主峰で、現在噴火活動をしているのは前掛山です。前掛山頂火口のある釜山からおおむね2km以内への立ち入り規制をかけています。
標高2568mの浅間山は、その美しい円錐型のシルエットで知られていますが、その眺望を楽しめるのが黒斑山、蛇骨岳、仙人岳、鋸岳の浅間外輪山です。黒斑山の標高2404mをはじめ、いずれも2200mから2300m級の峰を繋げています。

黒斑山は長野県が3コースで推奨している浅間山登山おすすめコースのうち、お手軽絶景コースとして紹介しているほどの絶景を楽しめる人気の山です。四季を問わず楽しめる山は花の百名山にも選出されており、ヒメシャジンの山として紹介されています。

登山道メインルートで安心スノーハイクで絶景展望地へ
登山口はあさま2000スキー場入り口の車坂峠になります。こちらで登山届の提出ができます。山神神社もありますので、登山の安全を祈願していきましょう。車坂峠からは表コースがメインルートです。雪上にはしっかり踏み跡ルートが見えますので、雪歩き初心者でも安心してスノーハイクにチャレンジできます。

かまぼこ形状の避難小屋を右手に見やり、稜線尾根に飛び出ると最初の絶景ポイントの槍が鞘です。眼前にカヌレにホワイトパウダーシュガーを思い切りまぶしたかのようで、美味しそうな浅間山が広がります。しばし堪能タイム。

そしてまだ先に絶景ポイントは待ってます。浅間山を右手に見ながら稜線を進み、夏シーズンは岩場の急登も雪で白い壁になっている坂を登るとトーミの頭です。

稜線上の展望ポイントとして知られる、絶景の展望台からは、南から東側に大きく開けています。トーミとは遠見を表記するのだと思いますが、浅間山の後ろには金峰山をはじめとする奥秩父の山嶺が並び、さらにその後ろには富士山の白頭が除いて見えます。

黒斑山からなら活火山の山頂火口もチラ見できる
木々に積もった雪も、桜の季節の頃には溶け出し、厳しい風に海老の尻尾と呼ばれる雪溜まりも、かろうじて名残を残しつつ団子状にもなり、氷柱を吊り下げたり、春の近づきを演出しています。トーミの頭から続く稜線歩きは標高2404mの黒斑山頂へ。

トーミの頭からは伺えなかった浅間山の山頂釜山を、少しだけ覗き見できます。取材に足を運んだ日は、前掛山火口からの噴煙を見ることはできませんでしたが、その釜山の火口の大きさは圧巻です。

この先に続く蛇骨岳、仙人岳、鋸岳と浅間山外輪山の峰は続きますが、ここまででも十分にお腹いっぱいのガトーショコラ。帰りは中コースを使い、樹間を散策して車坂峠に戻ります。

時折、北側に展開する高峯山と、その後ろに見える後立山連邦〜立山連峰の山並みに感動します。往復コースタイムは、およそ3時間の極上スノーハイクです。
