横浜は港のイメージが先行しますが、じつは坂の多さでも知られています。坂が多いことで切り通しや隧道も意外に多く知られています。とりわけ隧道は、いずれも流通や人々の生活の一部となっているようです。山手あたりには、そんな隧道が数本ありますが、保土ヶ谷駅からバス停2駅と至近な公園の腹下には、市認定の歴史的建造物が潜んでいます。
市民が憩う公園広場の下にある生活道路のトンネル
その公園は南区の清水ヶ丘公園と言います。最寄駅は横浜市営地下鉄南太田駅か井土ヶ谷駅。もしくはJR横須賀線保土ヶ谷駅になります。清水ヶ丘公園は見晴らしの優れた丘の上にあり、緑豊かな開放的な広場や花壇、子どもの遊び場などを備え、散策やスポーツが楽しめる公園として市民に愛されています。屋内温水プールや体育館、テニスコートなどのスポーツ施設が充実しているのも人気の理由でしょう。

その公園の下を斜めに横切るように1本の隧道が走っています。大原隧道というトンネルです。関東大震災の復興事業の一環として、この隧道は昭和3年(1928年)に完成しました。トンネル内部には横浜市の蒔田や磯子方面への水道管が埋設され、現役で活用されています。

総延長254m、高さ3.62m、幅2.44mの馬蹄形トンネルです。清水ヶ丘公園の北側・保土ヶ谷側と南側の南太田を結ぶ通路として、今でも市民生活を支えています。北側には自転車での乗り入れを防ぐ杭が埋められており、市民の多くは自転車も下車し押して通過しています。

独特な紫と白コーデのおしゃれな坑門デザイン
この大原隧道の特色は坑門(トンネルの入り口)に紫褐色の焼き過ぎレンガと白い花崗岩で装飾していることだそうです。そういえば、ホワイト&パープルのコーデで品位を感じますね。坑門にはフランス積みというデザインが採用されているそうです。港町横浜ならではの西洋スタイルの取り込みなのでしょうか。

この大原隧道と全く同じ坑門衣装の隧道が近くにあります。保土ヶ谷駅前に直結する地域の幹線道路となっている東隧道です。時期から工法も同じという兄弟トンネルです。もちろんこちらも市認定の歴史的構造物です。