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スズメだけじゃなかった!? 里地でひっそりと数を減らしている野鳥たちの生態を知る

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2024年10月、環境省が出した「モニタリングサイト1000第4期とりまとめ報告書概要版」及び「モニタリングサイト1000里地調査2005-2022年度とりまとめ報告書」は、全国約1000カ所の調査地(モニタリングサイト)を平成15年度から長期継続的に調査したものをまとめたものです。

この調査の結果を受けて、各種メディアでスズメの個体数の減少が取り上げられ、X(旧:Twitter)などでも大きな話題となりましたが、実はスズメ以外にも数を減らしている意外な里山の鳥がいました。今回はそれらの鳥を紹介したいと思います。

そもそも「モニタリングサイト1000」とは何か?

環境省が実施した「モニタリングサイト1000」は、高山帯、森林・草原、里地、陸水域、沿岸域、砂浜、サンゴ礁、小島嶼について、全国約1000カ所の調査地(モニタリングサイト)にて、2005年から2022年までの18年間にわたり、研究者やNPO団体、市民の協力を得て、チョウ、鳥、植物などの生き物の変化を調べたものです。

その内の「里地調査」は、全国325カ所の里山を調査したもので、これによって農地、草原、湿地といった開けた環境を好む生き物の減少が特に顕著で、里山の生き物の現状と課題が明らかになりました。

里山の鳥が減ってしまう理由とは

気候変動の影響や、人口減少や高齢化による里山の手入れ不足、宅地開発、農地の減少、ネオニコチノイド系農薬との関連、林業の縮小など、さまざまなことが原因といわれています。モニタリングサイト1000の国別報告書によると、これらの生息地の劣化と生物多様性の喪失は続いているそうです。

「モニタリングサイト1000 里地調査」の鳥類の評価対象種は106種ですが、その内15%に当たる16種の記録個体数が、環境省が絶滅危惧種と認定する際に基準とする減少率である年間3.5%以上急速に減少していたそうです。

今回は急速に減少している16種の中から5種類ほどを紹介します。

シベリアからやってくる冬鳥【ツグミ】

全長24cmでヒヨドリほどの大きさのツグミはシベリアから渡ってくる冬鳥です。森林や、農耕地、公園、草地などで見かけます。翼の端にオレンジが入り、お腹に魚鱗のような模様が入ります。地球温暖化の影響で日本での滞在日数が短くなってきているという調査結果もあります。そのせいなのか、今回の調査では-7.45%程の減少率です。

スズメよりも小さい【ミソサザイ】

大隅諸島(おおすみしょとう)以北に、留鳥として周年生息している最小クラスの野鳥で、体長11cmほどとスズメより少し小さめです。尾を真上にピンと立てている姿が印象的で、ミソっちと呼ぶ人もいます。渓流沿いに住み昆虫、クモ類を食べて暮らします。こちらは-8.25%程度の減少率です。

減っているのが信じられない【アオサギ】

比較的大きな鳥で見つけやすいためか、水辺であればどこでも見られる鳥だと思っていたアオサギが、数を減らしているというのは驚きでしたが、毎年-8.45%も減少しているそうです。湿原・干潟・水田などに生息するため、それらの面積が減っていることも一因のようです。