高尾山で有名な東京都の南西部に位置する八王子市は、多摩丘陵と関東山地東縁の接点にあり、小さな山や丘が数多くあり城跡がいくつか存在します。そのひとつである片倉城跡公園(かたくらじょうせきこうえん)は、室町時代に築城したともいわれる平山城である片倉城跡(かたくらじょうあと)に整備された総面積約6haの公園です。城自体はすでにないものの、空堀などの遺構が東京都の指定文化財に指定されています。

こぢんまりとしているように感じますが、雑木林が広がり、さすが城跡というべき高低差のためかハイキング感が満喫できる公園です。そんな片倉城跡公園は、冬の時期にはルリビタキ、そして梅雨の時期や真夏の暑い時期以外などはカワセミが観察できる鳥見の場所として、近隣の鳥好きには有名な場所です。49種類もの鳥の観察記録があり、主要な冬鳥のほか、夏の間にもツバメ、コジュケイ、アオサギ、ウグイスなどが姿を見せるそうです。

探鳥に来た人に話を聞いたところ、昨年の冬にはキクイタダキを見に多くの人が訪れたとのこと。しかし毎年見られる冬鳥のルリビタキと共に、今年は姿が見られず残念だという話をお聞きしました。その他、クイナやアカハラもいるとのことでした。
鳥だけでなく山野草も楽しめる!
片倉城跡公園では鳥だけではなく、山野草を見に来る人も多く、春にはセツブンソウやミスミソウが咲きます。また、カタクリが自生し、ヤマブキソウの群生も見られます。
そして夏にはキツネノカミソリやアジサイ、ショウブなどを観察できるので、春や夏の鳥が少ない時期にも楽しめます。JR片倉駅より徒歩約5分、京王片倉駅より徒歩6分というアクセスのよさも魅力のひとつです。

初級者が実際にどれだけの種類を観察できたのか?
筆者が実際に探鳥を行った結果、池の周辺で特に多くの鳥を見ることができました。ハシボソガラス、ヒヨドリ、キジバト、カルガモ、シジュウカラ、ハクセキレイといったおなじみの顔ぶれのほか、ジョウビタキ、ヤマガラ、エナガ、アオジ、シロハラ、ツグミなどの野鳥を観察することができました。

今回観察した鳥や、片倉城跡で見られるオススメの野鳥をピックアップしてご紹介します。
お腹のオレンジが鮮やか!【ジョウビタキ】
自宅の庭に来ることがあり、筆者にとって最も遭遇率が高い野鳥ともいえるジョウビタキ。メジロやエナガの次に見つけやすいのではないかと思う野鳥です。全長15cmほどで、住宅地、公園、河原、低山、雑木林などで見かける冬鳥です。オスは頭が銀色、背中は黒、お腹がオレンジと目立つ色合いです。人気のある鳥でオスはジョビオ、メスはジョビコの愛称で親しまれています。

一方メスは、グレーがかった茶色の体毛で尾が少しオレンジがかっています。オスと同じく翼に白い斑点があるので、この斑点でほかのヒタキ系のメスと見分けたりします。

菊の花を頭に乗せたような【キクイタダキ】
場所によっては留鳥、平地では冬鳥のキクイタダキは、頭上の黄色い模様を菊の花に見立てて付けられた名前です。ミソサザイと並んで日本最小の野鳥で、全長は約10cm、体重は4~6gで針葉樹林で暮らす鳥です。
オスとメスほぼ同色ですが、オスの頭には赤い線が入っています。

一方メスの方には写真のように赤い線がありません。

地味だけど割とレア【コジュケイ】
林の中など地面で見かける留鳥のコジュケイは、中国から持ち込まれ、野生化したものが生息しています。色味は地味なもののキジの仲間で存在感のある野鳥です。全長は27cmとキジバトより少し小さめで、農耕地、雑木林などで見ることができます。顔の下から胸にかけてオレンジがかった体毛が特徴です。
キジっぽいのが現れたけれど、小さい! しかも尾が短い! といった場合には、おそらくコジュケイです。

雌雄同色で下の写真のように見分けがつきません。チョットコイ、チョットコイと鳴くなどと書いてあることもある独特の鳴き声なので、YouTubeなどで確認して覚えていくとよいかもしれません。
