目的地や宿泊先を決めず、クルマで寝泊まりしながら自由気ままに旅をする「オーバーランドスタイル」が人気を集めています。
たしかに車中泊ならホテルの予約や宿泊費の負担から解放されますが、意外と気になるのが「お風呂」。近くに日帰り温泉やコインシャワーがあればいいですが、例えば観光地から離れた山の中だとひとっ風呂浴びるのも苦労。
ハイエースに乗るかじしんさんは、まわりに何もない目的地で気軽にアツアツのお湯につかれる、ドラえもんのひみつ道具風に言うと「どこでもお風呂」をD.I.Yで作ってしまいました。
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ネットで調べて「循環式システム」を自作
かじしんさんの趣味は釣り。クロダイを求めて各地の釣りスポットまで遠征するため、車中泊する目的で室内空間に余裕があるハイエースを購入。釣りスポットは水面に移る景色がキレイな場所もあり、「いい景色を見ながらゆっくりお風呂に入ってみたい、ってふと思ったんです」。
その理想をかなえるために、ネットでいろいろ調査。ありがちな大きなドラム缶だと持ち運びが大変で場所を取ることから、思いついたのが組み立て式の浴槽。組み立てた後に浴槽の形に合わせて折り曲げたブルーシートを敷き、そこにお湯を張る仕組み。ブルーシートは丈夫な物を選べば意外と水漏れせず、浴槽は使用後に折り畳めるから持ち運びが簡単なのです。
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問題はお風呂に必要なお湯。つかるのに適温のお湯を調達するのは難しいため、水から沸かすことになります。水は近くに川があったらそこからくみ上げたり、キャンプ場でもらったりすることも。今回は水を入れた大量のポリタンクを持参しました。キャンプギアに合わせても違和感のないベージュカラーがオシャレです。
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湯沸かし装置はネットで調べてD.I.Y。火をくべた薪の熱源を利用する仕組みで、浴槽にポンプを入れて吸い上げた水を薪が入った缶に沿わせたパイプを通し温め、再び浴槽に戻して循環させています。
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気温が低いとお湯が適温状態になるまで2時間ほどかかるそうですが、待ち時間の間に他の作業もできるからスローライフなオーバーランダーにはピッタリ。何人もつかることを想定して循環器を設置したのもポイント。「雪が積もった朝霧高原のふもとっぱらで、富士山を見ながらお風呂に入ったこともあります。熱い時は雪を入れて温度を調整しながら(笑)」。