登山活動中に食べる「行動食」にはどんなものが適しているのかを解説する3回目です。2回目では、必要な栄養素などについて取り上げました。今回は「実際に山に持っていくための携行性」について考えてみます。
1回目では、藁苞納豆を持ってきた人の事例を紹介しました。この場合、「持ち歩き」に不向きというわけではないと思いますが、「食べにくい」「後始末が大変」という問題があります。フルーツを丸ごと持って行った場合の皮の問題もそうですが、行動食は、食べた後も包材や食べ残しなど、すべてを帰宅するまで持ち歩く必要がある点を考慮する必要があります。
無駄な包材はあらかじめ取り除き、なるべくゴミが出ないようにし、食べ残しも出ないように考えなければなりません。
行動食の優等生No.1は「おむすび」
古来日本の伝統的行動食ともいえるのは「おむすび」です。コメを炊いた「ごはん」に含まれる糖質量は、お茶碗に軽く1杯分(100g)で約35.6g、カロリーは約156kcal。体脂肪を燃焼させるために必要となる糖質をしっかりと含んでいるのが特徴です。
「ごはん」そのものだと、おかずがないと食べにくいし、弁当箱に入れたとしても、箸がなければ食べられません。その点、おむすびにしてあれば、そのまま手に持って食べることができます。しかも、具のない「塩むすび」でも、塩味がついているのでそのまま食べて美味しいですし、好きな具材を選ぶこともできます。海苔でごはんと具材を巻き込んだ「おにぎらず」も同様です。
いずれも手軽に持ち歩けて、立ったままでもすぐ食べられるという、行動食にはぴったりの条件を満たしています。携行性については「パン」も同様。惣菜パンなら、野菜やたまご、チーズ、ハム、ソーセージ、ベーコンなどのたんぱく質も摂取できます。甘い菓子パンも、糖質をたっぷりと含んでいるので、エネルギー源として適しています。
大福もちや、どら焼きなどの和菓子系の菓子類、ドーナツやマドレーヌなどの洋菓子系にも持ち歩きやすいものがいろいろあります。筆者のお気に入りは「ナッツタルト」。タルト生地の上に、いろんなナッツがたっぷりとトッピングされていて、焼き菓子なので日持ちもするし、満腹感も得られやすく、なんといっても美味しい。関西ローカルの山好きさんたちの間では「山タルト」と呼ばれて定番メニューとなっています。
無印良品は山用行動食の宝庫
携行性がいいといえば、無印良品のアイテムには、登山の行動食に適したものがいろいろ。山好きクラスタの間では、〝ナカノヒト〟は山ヤじゃないかともっぱらの噂……。ホントかな?
一度に食べるのにちょうどいいサイズの個包装で、甘味から塩味までいろんなバリエーションがあるのもうれしいです。小さくてぺったんこのものなどは、非常食としてバックパックの雨蓋の中に常にしのばせています。
おつまみ系のものをチョイスしておけば、無事に下山したあとの〝下山祝い〟のお酒のお供になる点も気に入っています。