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無実山とはややこしげな「房州アルプス」の名峰! 山好き俳優が残した台風被害復興の証に目がテン

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低山の宝庫と言えば聞こえはいいですが、低山しか無いとも言えるのが千葉県です。それでもさすがに県央部には富山、伊予ヶ岳、鋸山といった低いながらも名峰が居並んでいます。いずれも300m級ですが、海に近いこともあり登山口の標高を考えれば、それなりにタフなコースでもあります。その千葉県のご当地アルプスが房州アルプス。ただし、このアルプスはなかなかのクセ者として知られています。

そもそも命名で取り違えた?と言われる千葉のアルプス

無実山のある房州アルプスは千葉県富津市志駒及び梨沢をまたぐ一帯の南北に連なる山域です。富津市はかつては上総国と呼ばれた総州の表記が正しいとされています。房州とは安房国のことで鴨川や南房総一帯になります。地図で見れば富津市の下に鴨川市や南房総市が並んでいるので、どうやら誤用されたらしいのでは、というのが房州アルプスです。

ただ、この山域は公共交通の利便性が難点で、ほぼクルマ利用でのハイクとなるかと思います。駐車スペースは知られているのは2ヵ所。県道182号沿い林道鹿原線と交差するところのスペースを利用するか、梨沢地区にある梨沢公民館駐車場を利用させてもらうかのようです。

梨沢公民館には登山者の駐車利用に関する駐車票等を用意いただいているので、安心してクルマを預けることができるかと思います。公共交通機関を利用するならば、JR内房線・保田駅からタクシーの利用となります。

まさかのレ点読みと無実の山は、実無しの山が由来

梨沢公民館にクルマを預け鹿原林道の房州アルプス登山口から踏み入ります。無実山は標高267mで「みなしやま」と読みます。無実と書いてみなし。レ点読みという風流さを漂わす山名がオツですね。

登山道は幅広く、歩きやすく快適なトレイルです。じつは房州アルプスは令和元年の台風15号で多大な被害を受け、登山道がそこかしこで崩壊し、難路のアルプスとして入山を阻んできました。地元の山岳会の方々などの尽力により、再整備が行われ、今では危険なルートへの立ち入りをさせないよう、迂回路がしっかり用意されています。

登山道はフラットに伸び、一部から露天のテラスと呼ばれる君津市から鴨川市方面に拓けた眺望ポイントへ。ここでは鹿野山を視界に捉えることができるので、休憩ポイントにもなると思います。

そしてルートは痩せ尾根をつたい、指導標のない分岐から小高いピークに行き着きます。このピークが無実山です。山名標識は見当たりませんが、説明板がマテバシイの幹にくくりつけられています。

説明板によると鎌倉殿・源頼朝がこの登山道を馬で通過中、シイの実が頭に当たり、頼朝がえらく怒ったそうです。悔しさのあまり頼朝が「花が咲いても実はなるな」と八つ当たりしたそうです。以来、シイの木には頼朝を傷つける意図はなく、無実だということで「無実山」と呼ぶようになったそうです。