山頂付近に広がる「南大門跡」
ほどなくして、ベンチとテーブルのある屋根付きの休憩所に到着。その休憩所を境に「南大門跡」と「第六十五番」、それぞれに通ずる分岐がありました。
道中で出会った女性に尋ねたところ「どちらに行っても最後は同じ道に繋がりますよ。穏やかなルートがよければまっすぐ第六十五番へ。南大門跡は山の上にあるから、起伏を楽しみたいなら南大門跡がおすすめかしら」とにっこり。そこで、私たちは後者を選択しました。
坂を登り切ると、ぽっかりと平坦な空間が広がっていました。案内板は見当たらなかったものの、位置的にどうやらここが南大門跡のようです。母は「もっとわかりやすいものがドーンとあるのかと思ったね」と小鳥さながら口を尖らせていました。
坂を下った先に「第八十四番」のお地蔵様が現れ、もう一方のルートと合流しました。
巡礼路の終着点、第八十八番
参拝しながら山道をさらに下って、ついに「第八十八番」に到着しました! 「わあ、よく歩いたねぇ。特にコース前半の山道は獣が出そうでドキドキしたよ」と巡礼路のゴールを喜び合いながら、ふと気付いたことが。南大門跡のルートを選んだことで「第六十五番」から「第八十三番」が参拝できていなかったのです。
母は「それでもご利益あるよ。がんばって歩いた事実が大切なんだから~」と言い切ります。罰当たりじゃないよね……と、ビビリな私は恐る恐る検索。たとえ本場のお遍路で中断や逆回りをしても罰は当たらないという情報が見つかり、ホッと肩を撫で下ろしました。
川沿いの遊歩道を抜けてゴール
巡礼路は無事巡り終えましたが、スタート地点付近に繋がる遊歩道がまだ続いていたので、その道を進みました。歩きやすい川沿いの舗装路で、美しい紅葉も楽しめました。母は記憶が蘇ったようで「数年前に友達と歩いた道は、この道のことだったわ!」と話していました。
遊歩道の終点に小さな橋が架かっていました。渡れば、ハイキングコースのゴールです。
どこからかイノシシの鳴き声がしたときは焦りましたが、歩き終えてしまえば気持ちのいいハイキングコースでした。3歳の息子を連れて巡礼路を巡るのはまだ難しそうですが、最後の舗装路だけなら一緒に楽しめそうです。
秋の紅葉はもちろんのこと、春のサクラやアジサイも美しく、初夏は川沿いで幻想的な蛍にも出会えるそうなので、また季節を改めて訪れたいと思います。
【データ】
■五百仏山
住所:和歌山県岩出市根来