ソトラバ

芥川賞受賞作『バリ山行』で描かれる登山ルート! 小説とともにたどる「六甲山のテッパン登山コース」を歩く

楽しい外遊びはソトラバで。アウトドアWEBメディア Soto Lover

お楽しみのランチタイムには憧れのアレを

一行は、ゴルフ場、雨ヶ峠を通り過ぎ、東おたふく山あたりでお昼休憩を取ります。六甲山地では唯一の草原の山で、広々とした景観が楽しめる場所です。

東おたふく山

ここで経験者数名がバーナーを持参してお湯を沸かして、各自が持参したカップ麺を作って食べました。参加者の一人が「最高じゃないスか!」と叫ぶのですが、たしかに山で食べるカップ麺って、とびきり美味しいですよね。

食後にはインスタントながらコーヒーまで振舞われ、波多さんは「なぜか不思議なほど美味かった」と大満足でした。

カップ麺

<草原が広がる東おたふく山の頂から、陽を受けて薄紅色に光る海が見えた。皆から少し離れて煙草を喫っていた藤木常務は、携帯灰皿を揺らしながら戻ってくると、私の隣に腰を下ろした。首にかけたタオルで顔を拭い、「たまにはいいだろ? 会社の仲間とこういうのも」と私の肚を見透かしたように言った。>

東おたふく山からの眺望

前の会社をリストラされたのは、もしかすると社内付き合いを避けていたことも影響しているかも、という思いもあって参加した波多さんですが、この登山はとても新鮮で楽しい体験になったようです。

このときの登山の描写はここまでなのですが、計画によると、ドビワリ峠、七曲を経て、六甲最高峰へ登頂。そして、有馬温泉へ。

最高峰

ここから北側斜面へ続く「魚屋(ととや)道」を下って、ついにゴールの有馬温泉に到着しました。

有馬温泉

別記事では、最初の山行から数か月後、のちに「バリ山行」に連れて行ってもらうことになる「妻鹿(めが)」さんと同行する場面を解説。計画では最初の山行と同じコースだったのですが、実際には2カ所で「プチバリエーション」へ踏み込む部分を紹介していきます。