中島で待つのは文化財「双青閣」
中島には、国登録有形文化財「双青閣(そうせいかく)」があります。双青閣は、1920年に旧紀州藩主の徳川頼倫公が、徳川入国300年を記念して、和歌山市の和歌浦東照宮の下に創建した邸宅の一部。1968年に現在の場所に移築されました。
双青閣は平常時は閉館しているため、何も知らないと「ふーん」で終わりかねません。しかし実は、世界遺産の金閣寺や銀閣寺と同様の建築様式が用いられているのだそう!
そんな貴重な文化財ですが、海南市に利用許可を申請して受理されれば、なんと550円から双青閣を借りられるというから、これまたびっくり。母がよく参加するハイキングクラブでも、持参のお弁当を食べる昼食スポットとして双青閣を借りたことがあったのだとか。
秋は「紅葉」春は「桜やチューリップ畑」
吊り橋を引き返して、もと来た道へ。コースを前進していくと、ところどころに整備された多目的広場が見つかりました。
芝生が広がる空間に、小上がりのステージがあったりベンチがあったり。春に開催される「さくらまつり」の際はここで、地元の中学生や高校生による演奏会や、和太鼓の演舞といったステージイベントが行われ、屋台も出店されます。
公園の管理室を兼ねた水舎小屋や、春の訪れを待ったチューリップ畑もありました。
堤防から亀池を一望する
紅葉のアーチを抜けると、亀池が一望できる堤防が現れました。「さっき行った双青閣が見えるね」「ぼーっとして池に落っこちたら、上がるのに苦労しそうな斜面だわ」などと、急に開けた空間に2人してきょろきょろしながら進んでいると、堤防の端にある「故・井沢弥惣兵衛(やそべえ)翁之碑」に着きました。
石碑に名前が刻まれている井沢弥惣兵衛こそ、この巨大な亀池を造成した人物。江戸時代の治水家かつ紀州流土木工法の始祖として知られる偉人です。
遊歩道の中で、池と同時に近隣の家々まで見渡すことができるのは、この石碑の位置だけ。井沢弥惣兵衛が、今もこの町を見守っているように感じられました。
ここまでは、亀池公園の外周の約3分の1。見どころとなるスポットは多いですが、山道の本番はここからです。石碑の脇に架かる小さな石橋を渡って、鬱蒼とした森の中へ………。続きは、また別記事でお会いしましょう。
【データ】
■亀池公園
住所:和歌山県海南市阪井806番地