茨城県県央部に所在する笠間市と石岡市は常磐自動車道とJR常磐線が南北に走り、JR水戸線が東西に横断しています。その常磐線と水戸線を結ぶように笠間アルプスが峰をつなげています。標高500m前後の頂が連なる里山ハイキングコースは長閑、いやいや、シビアなアップダウンが連続し、アルプスの名に相応しいコースです。
全行程約17kmに6つのピーク! 登っては下りの鋸刃の尾根道
笠間アルプスは北側がJR水戸線福原駅から廻る吾国山(わがくにさん:標高518m)と南東側JR常磐線岩間駅からの愛宕山(標高305m)を結ぶ約17kmの吾国愛宕ハイキングコースです。主峰はコース中程に立つ難台山(なんだいさん:標高553m)です。JR駅間を結ぶハイキングコースなので、公共交通機関を利用してのトレイルが楽しめることもあり、近隣県のハイカーはもちろん、関東圏内の登山ファンにも人気のご当地アルプスのひとつです。
福原駅、岩間駅のいずれからでも約3kmほど住宅街を歩きます。電車の時刻表と睨めっこで入山口と下山口を決めていいと思います。ここでは福原駅→岩間駅のルートを選択しています。
カタクリの群生地を抱く吾国山頂神社から筑波山を眺望
福原駅は無人改札駅で、トイレは駅舎外に水洗トイレが設置されています。この先ルート上は出口側の愛宕神社までトイレがありません。ホームから正面に吾国山の緩やかな山並みが見えます。駅を出て県道を左折し、踏切を渡ったところからハイキングコースの案内標識が立っています。ここを起点として案内標識番号は24。矢印の先の番号は23なので、ひとつひとつ番号を小さくしてナンバー1を目指すことにします。
集落の先に北関東自動車道が横切ります。西側には加波山の堂々たる姿。道なりに進んで同自動車道の橋脚下で小さな集落内を抜けていきます。案内標識に従って標高を上げながら田畑を縫うように進み、登山口にたどり着きます。ここで標識番号は15。多くの標識で道迷いをしないように配慮するなど、管理されている方々の心遣いに感謝ですね。
登山道は里山らしい緩やかな登り出しから次第に傾斜を上げ、アルプスの別称を冠するにふさわしく、健脚ルートと言われるだけのタフさを要求してきます。植林樹帯の標高を上げ、進んでいくと混交林帯が広がり始めます。ガイドロープの遊歩道に従った先の斜面に吾国山のカタクリ群生地が広がっています。笠間アルプスにはこのカタクリと、先にあるスズラン群生地とで春の登山シーズンはハイカーが列を作ります。
カタクリ群生地の終点先にちょっとした広場ゾーンがあり、いよいよ山頂です。吾国山頂には砦かと思うような石垣に守られた我国神社(田上神社)が置かれています。山頂神社からの眺望は絶景。参道階段から北側は笠間市街が広がり、その先には日光連山。神社右脇に回れば加波山と筑波山が峰を重ねます。この後もこの2座とは所々でお付き合いいただけますよ。