山梨県北杜市の北東部に位置する瑞牆山(みずがきやま)は日本百名山の一座で、奇岩を巡るシラビソの登山道を踏破し、ラストの岩を乗り越えてたどり着いた山頂からの絶景が人気です。山頂からすぐに見下ろす大ヤスリ岩の威容。そして富士山と金峰山〜奥秩父の山並みや南八ヶ岳の山容が広がります。多くはメインの瑞牆山荘前からのアプローチになりますが、マイカー派には少し先にある自然公園から辿る黒森コースもいいかもしれません。
キャンプ場のある自然公園からふかふかな登山道を行く
冒頭に記したように瑞牆山のメインルートはクルマだけでなく、JR韮崎駅から登山口のある瑞牆山荘までバスが利用できることもあり、みずがきルートをメインとして多くの登山者が足を踏み入れます。こちらのルートは登山口及びルート上の富士見平小屋の2カ所にトイレがあり、富士見平小屋手前には水場もあるので、インフラ面で何かと心強く山頂を目指すことができます。
今回取り上げる黒森コース、別名不動滝ルートは地図上で瑞牆山荘より先の西側に位置するみずがき自然公園からのアプローチになり、それなりの登山キャリアは必要かもしれません。同公園はキャンプ場併設なので、駐車場内には手入れされた水洗トイレが設置されています。
公園を抜けてトレイルを小川山林道終点へ進みます。ガイド本や登山サイトではクルマが行き来するみずがき林道歩きを推奨していますが、公園を抜けていくふかふかな散策路の山行で、気分を盛り上げてくれるものがあるように感じます。
小川山林道終点から本格登山が始まります。ちなみにこの林道終点は駐車スペースにもなっており、十数台分駐車が可能です。ただ、林道途中からはアスファルトではなくなり、岩混じりの悪路ですので車高の低いクルマは厳しいかと思います。なお、こちらにはトイレはありません。
静かな森を散策するルート前半の見所が不動滝
登山道は所々で標識柱や標識板、ピンクリボンなどもあるので、見落としさえなければしっかり辿ることができます。静かな山行は、続々と現れる巨石に圧倒されながら程なくして沢の音。豊富な水量が流れる沢音は次第に高まり、出発点の自然公園から約1時間半ほどで不動滝が目の前に現れます。
巨大な一枚岩の滝は高さ約20mと言われていますが、荒々しく滝壺に落ち込む雄々しいものではなく、岩壁を伝うように落ちる様が静かな山行にふさわしく、休憩用のベンチ(5脚)で束の間の休息に最適なBGMにも感じます。ベンチの隙間には動物の骨らしきものが置き物になってました。