夏真っ盛りです。今年のカリフォルニアは日本と同様に猛暑日が続いており、湖やキャンプ場は、涼を求める家族連れで賑わっています。さて、前回はソノラパスをご紹介しましたが、ソノラパスの北側にあるソノラピークを目指すトレイルを歩いてきましたので、そのレポートをお届けします。
1600kmを踏破する猛者たちと出会うPCT
ソノラピークは標高3494mの山で、今回のトレイルはその山頂を通る10kmほどのループトレイルです。ソノラパスの一番高いところからスタートし、トレイルヘッドの標高がすでに2900mもあり、森林限界でもあるため、最初から見晴らしがよいロケーションです。野草の花がよく咲いていて、荒れた地形とのコントラストが美しいです。
このソノラピークトレイルの半分くらいは、PCT(パシフィック・クレスト・トレイル)と重なっています。このため、今の時期ですと、かなりの確率でPCTハイカーに遭遇します。PCTはメキシコ国境からカナダ国境まで南北に縦走する長距離トレイルで、ハイカーはここに来るまでに1600km歩いている猛者ですので、その風貌ですぐにわかります。歩くのも速いので私などは軽々抜かれてしまいます。
ランチ休憩を終えて荒れた獣道のトレイルを進む
昼過ぎに歩き始めたので、1時間程ですぐにお腹が空いて早々にランチタイム休憩です。家にあった袋ラーメンと炒め物の残り、これにアメリカで人気のスーパー「トレーダージョーズ」で見つけた冷凍の韓国おにぎりを添えたラーメンライス定食です。冷凍おにぎりは、そのまま持ってきて自然解凍すると保冷剤にもなってよいですね。
この地点ではまだ三分の一も歩いていません。早々にランチの片付けをして上っていきますと、火山風のごつごつした岩や軽石が現れてきて、火星風の景色が見られます。万年雪のパッチが近くに見えてきたところで、PCTから外れる分岐点に到達しました。PCTはよく整備されていて歩きやすいのですが、そこから外れると、急に獣道のようになります。ソノラパス近辺のトレイルあるあるなのですが、メジャーでないトレイルは、あまり手が入っていない上に、歩く人が少ないので荒れていて、道が途切れているところも多く、GPSがないと大体迷うことになります。
風よけの空間には記帳用のノートが……
軽い岩場を登り、ガレ場をしばらく歩き、ついに山頂に到着です。360度広がる景色は、方角によって全く異なる世界で想像以上に壮大でした。この山頂でテントを張ってキャンプすることもできます。気持ちよさそうですが、悪天候になったりとくに雷が来たらなかなか恐怖な気もします。
少し風がありましたが、風よけの岩が円状に積んであり、その中に座ると、ちょうどお風呂のようになっていい具合です。このお風呂空間の中に大きめの岩があり、その下にタッパーが隠されていました。開けてみると、鉛筆とノートが入っていて、記帳できるようになっていました。
何もない山肌や草原が広がっていて幻想的なトレイルを歩く
しばらく休憩して、早々に山を下ります。下りのルートは、上りよりもさらに開けていて、何もない山肌や草原が広がっていて幻想的です。足場の悪い急な下りを進み、その後は川に沿ってお花畑のトレイルをひたすら歩いて、ぎりぎり明るいうちにクルマに戻ることができました。
クルマの近くでヒッチハイカーに声をかけられて、ハイカー2人を乗せて山を下りることに。ソノラパスでは長距離トレイルを歩いているハイカーが、下山して食糧補給するために、よくヒッチハイクをしています。今回乗せたのはコロラドとニューヨークから来た女性ハイカーでした。車中で遠くから来てシエラを歩こうと思った経緯を聞くのは、毎回興味深いです。ちょっと人助けもできたよい日曜日になりました。次回は、ソノラパスの南側のトレイルを紹介したいと思います。