鎌倉の夜を彩るぼんぼりと本宮、舞殿の灯の美しさ
夏越祭は15時頃から夏の邪気を祓う神事が源氏池のほとりで行われたあと、参道で茅の輪くぐりを行い、健康を祈願します。本宮の大石段前の舞殿では雅楽が披露され、巫女により夏越の舞が奉納されます。夕暮れ6時半になると参道や流鏑馬馬場の両側、舞殿周りに鎌倉にゆかりのある文化人、著名人が描いた約400点のぼんぼりに巫女さんたちが点灯し、境内は幻想的な雰囲気に包まれます。
ぼんぼりの点灯は、まず鶴岡八幡宮の宮司さんの揮毫から始まります。順次多くの作家&文化人、俳優、スポーツ選手、芸能人をはじめ、ぼんぼりに火が入れられ、訪れた同祭ファンや、観光者がお気に入りのぼんぼりを見つけては写真に収めていました。
一人ひとりが筆に想いを込めたぼんぼりは、やはり人を惹きつける力がありますね。鎌倉殿の13人の脚本家・三谷幸喜氏やミュージシャンのMIWAさん、イラストレーターのわたせせいぞう氏ほか、ラグビーの五郎丸歩氏、プロ野球横浜DeNAの牧秀悟選手と三浦大輔監督、サッカー界からは岡田武史元日本代表監督、俳優の秋吉久美子氏や、竹中直人氏、最近では鎌倉のエッセイを上梓された星野知子氏などなど。
夜の帳が下りると再び舞殿で演舞が始まります。同八幡宮の大鳥居から太鼓橋と続く参道と、一直線に本宮まで伸びるぼんぼりの列と舞殿と本宮が灯す橙色の灯は整然として、なお美しく多くの来訪者が境内を埋め尽くしていました。舞殿の演舞を楽しみに大石段に座り込む見学者が段を埋めて高みへ段を上げていく様はほのぼのしくありました。
翌日の立秋祭では夏の無事を感謝し、実りの秋の訪れを奉告し、神前に鈴虫をお供えします。そして9日の実朝祭では俳句会、短歌会が行われ同八幡宮内にある白旗神社に献上され、日本遺産の祭は幕を閉じます。