そのユニーク読み方から、なんとなく愛らしさを感じさせる「本社ケ丸」(ほんじゃがまる)は、秀麗富嶽十二景中でもっともハードな山陵ともいえます。東西の二方向からのアプローチのいずれもがタフであり、それだけに標高1631mの山頂に立った喜びはひとしおかとお思います。遮るものなしの圧巻なる富士山の姿はまさに秀麗です。
険しい岩稜の嶮、360度の大パノラマを独占
本社ケ丸はその稜線上にある清八山と富士山の東側にある前衛の三ツ峠山との縦走を楽しむ登山者に人気の山です。その山頂からの富士山の眺望は、鳥的メリットを大いに享受できる圧巻のロケーションが待っています。
山頂南側に霊峰富士。前衛の三ツ峠山は山頂に立つアンテナが目印となります。その西側には南アルプス群が北に広がります。目に飛び込んでくる群嶺は御坂黒岳からの脇から光岳、聖岳、赤石岳、悪沢岳、塩見岳の南アルプス南部3000m級深奥の山々。それに続いて間ノ岳、北岳、甲斐駒ケ岳の北部秀麗が名を連ねます。
さらには八ヶ岳から金峰山、北奥千丈岳、甲武信ヶ岳の奥秩父の主役たちが居並ぶ360度のパノラマを展開。なんとも贅沢な眺望です。その分、癖の多い登山道の下りが待っていますので、最後まで気をぬくことなく慎重な下山を心がけたいですね。