「高天原」と呼ばれる美しき天野の里へ
137町を過ぎた六本杉峠から、いったん町石道をはずれて天野の里へと下ります。
町石道は、距離約21km、休憩を含まない標準的歩行タイムは7時間ほど。もちろん健脚な人なら一日で踏破できるのですが、遠方からだと前泊か後泊が必要。今回は、天野の里で一泊し、二日間で歩く計画にしたのです。
標高約450m。四方を山に囲まれた隠れ里のような天野。のどかな田園風景が広がり、「にほんの里100選」にも選ばれています。
随筆家としても知られる白洲正子さんが、取材でこの地に立ち寄ったとき、あまりの美しさに感動したそうです。この里の中心的存在として鎮座しているのが、紀伊国一之宮で、世界遺産にも登録されている丹生都比売神社。弘法大師はこの神から社領を預かって、高野山を開いたとされています。
鳥居をくぐると、池のほとりに大きな太鼓橋があります。かなりの傾斜ですが、階段がついているので安心して渡れます。
大きな木々に囲まれた中に本殿があります。どっしりとした存在感がある檜皮葺の入母屋造、室町時代中期の建物だそうです。
こちらにも、夏越の祓いの茅の輪がありました。パワースポットとしても知られているそうで、いつ来ても多くの参拝者で賑わっています。
色鮮やかなバラが水に浮かべてありました。さて、今宵お世話になるお宿へ向かいましょう。ご先祖が、丹生都比売神社の宮大工だったというオーナーさんが切り盛りする一棟貸しのお宿「南峰庵」です。
オーナーさんの祖父の家で、朽ち果てていた建物をリノベーションして、小ざっぱりとしたお宿に改装。地元産の食材にこだわった食事の美味しさでも定評があります。いつ来ても、季節感のある美しいお料理に癒されます。
心尽くしの美味しい料理をいただいて、明日のためにしっかりと休むことに‥‥‥。「弘法大師も通った高野山への道! 山麓から180町の【町石道編】」へ続く。