泉質のいい温泉や美味しい食の宝庫で、魅力的な山もたくさんある東北は、関西人的には遠い憧れの地だったのですが、LCCを活用すれば意外と近いと感じています。前回、秋田駒ケ岳に登った時のことを、「秋田駒ヶ岳&乳頭温泉郷ルポ」【前編】【後編】でご紹介しました。
想定外の風雪で撤退することになり、また行きたいなぁとずっと思っていました。どうせなら、違うルートから。そして花がいろいろ見られる季節に、と計画したのが今回の山旅です。梅雨時なので、最初から雨は覚悟の上。折しも、梅雨前線が活発化する中、一路秋田へ。
神戸を朝出発して、10時台の秋田新幹線に乗れちゃうなんて。ちなみにドッキングしてる「こまち」と「はやぶさ」は行き先が違うので、間違えて乗ると大変なことになります。
東北ならではの山菜三昧でスタート
雫石駅でランチにしようと思ったら、「よしゃれそば」という名物があるそうな。なんだかわかんないけど、美味しそうなので食べてみることに。
戦国時代が起源と伝わる「雫石よしゃれ」という歌や祭りがあって、名物メニューにその名をつけたようです。地元産の山菜やきのこがたっぷりトッピングされていて、初めてみるものもいろいろ。とても美味しくて、午後の登山に備えて、パワーチャージはバッチリです。
さていよいよ出発。起点となるのは、この日のお宿の石塚旅館前。秋田駒ケ岳の五合目付近にあります。
昼過ぎに着いたのですが、お宿のご厚意で不要な荷物を部屋に置かせてもらって、身軽なスタイルで「笹森山」へと出発。
道標も何もない道路の脇が登山口のようです。かすかな踏み跡を下っていくと、清冽な水が流れる沢へ。飛び石で渡って、対岸の急斜面を登っていきます。
スタート地点ですでに標高800mほど。東北らしい美しいブナ林がひろがっています。緑陰はとても涼しくて、気持ちいい!
存在感のある巨木が点在するブナの森は、関西人には憧れ。まだ若葉に近いのか、葉の緑が透き通るようで木漏れ日が優しく、青空に映えます。ふと林床を見下ろすと、ラン科の花が咲いていました。
「コケイラン」でしょうか。シックな花色に気品が感じられてステキ。少し歩くと、今度は目の高さくらいに、紅色のかわいらしい花が風に揺れていました。
関西で見るものより、かなり紅色が濃いように見えますが、サラサドウダンかな。ベビーピンクがかわいらしい、タニウツギも咲いてました。
深い樹林帯を歩いてきたのですが、山頂が近づくにつれ、樹高の低い木が増えてきて、ついに眺望が開けました。
今回は梅雨時でもあり、雨を覚悟で来たのですが、梅雨の晴れ間のようで、まずまずのお天気。遠くの景色が見えると元気が出ます。
山頂からは明日登る秋田駒ケ岳の雄姿
国見峠への縦走路から分かれ、北西へひと登りすると、標高944mの笹森山の頂上です。山頂は360度眺望が開けており、北を見ると、明日登る秋田駒ケ岳がバーンと目の前に!
いかにも火山のカルデラっぽい地形が見て取れます。小岳、女岳、男岳……。その向こう側に、楽しみにしている「ムーミン谷」があるのだなーと地図と見比べてみました。明日のお天気がどうなるのかわかんないけど、楽しみしかない!