なんとも愛らしい、ほっこりした山名のおむすび山。標高は463mですが、秀麗富嶽十二景・十一番山頂の高川山からの縦走のラスボスということで、尾根の「結び」から命名された説と、桂川越しに見える山容が綺麗な三角形のおむすびに似ているから説など、いくつかのいわれがあるそうです。また困ったことに大月側登山口の標識も「むすび山展望台登山口」と「おむすび山展望台登山口」の2種類の標識が並ぶという混乱ぶりが、拍車をかけているようです。
春はカタクリ、紫のシメでハイカーの心を和ませる
秀麗富嶽十二景の山中にある標識には、大月市の製作標識板と同市が関与していない標識板とが混在しています。大月市製作の標識にはアーチ橋を模したかのようなブロックデザインの紫色の図柄が描かれています。笹子トンネルがイメージという話もあるようですが、とりあえずここでは大月市側登山口の標識に表記されている「おむすび山」で話を進めます。
おむすび山に登るにはJR中央本線大月駅から大月市中央病院の坂を上がり、住宅街とば口に登山口表示の標識があります。そこから民家の脇を上っていく、まさに里山です。カタクリの群生地として近隣住民の方々はもちろんですが、登山者にも親しまれている低山です。とりわけ一つ先の初狩駅から高川山の山頂を極めてきた縦走ハイカーには、可憐な山野草の花はいっときの憩いを与えてくれる大切なアイコンでもあります。
おむすび山単体ではやや食い足りなさもあり、それこそ高川山からの縦走の「むすび」で訪れる人が多いのではないでしょうか。この山頂には旧陸軍防空監視所跡があり、里山が戦時下において軍事利用された歴史が残っています。