雪が溶けて地面が出てきた場所では、いろいろな植物が一気に芽吹いています。フレッシュな緑の葉っぱのなかに、清楚な白が美しいハクサンイチゲ、ピンク色の花びらがかわいいショウジョウバカマやコイワカガミ……。まるで夏山のようなお花畑が展開していました。
〝高嶺桜〟の別名もあるミネザクラもちょうど見ごろでした。
このあたりは地形的にかなり風が強いのか、多雪のせいなのか、どの樹も背丈が低く、まるでハイマツのような樹形です。気象条件の厳しさを感じさせますが、残雪の白と空の青さに、桜色の上品なピンクが映えてとても美しい。残雪期ならではのうっとりするような景観です。
緑の中にミヤマキンバイの黄色が鮮やかに点在し、夏山シーズンにはすでに綿毛になってるチングルマがいっせいに咲き始めていました。驚いたのが、シラネアオイが大群落を形成して咲き乱れていたこと。
関西人的には、わりと〝憧れのレアな高山植物〟なんですが、あっちにもこっちにも山盛り咲いている。一生分くらい見たかも……。まさかこの時期に咲いているとは思っていなかったので、とてもうれしいサプライズでした。
山頂近くで出現した神秘的な虹の輪
再びルートは雪面となり、頂上を目指してあえぎあえぎ登っていたとき、ふと前方を見ると、逆向きの虹が出ているのに気づきました。
「え?」っと思って見上げてみたら、その上にもう一重。太陽の周りに虹の輪っかができる「ハロ」現象でした。
早朝は快晴だったのですが、天気は下り坂。上空にはうっすらとした巻層雲がかかりはじめていたのです。巻層雲を構成する氷晶が太陽光を屈折させるために起きる現象で、日本語では「日暈(ひがさ)」と呼びます。
山で、ブロッケン現象が見れたらなんだかテンションが上がりますが、ハロも幸運の前兆みたいな気がしてうれしいものです。ハロが出た翌日は雨かもしれないけれど、もう下山してるもんね。