ソトラバ

紀伊半島の山深い森で火の鳥に出会い、高貴なヤマシャクヤクを愛でる「和佐又山deキャンプ&ハイク」【後編】

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前編では、紀伊半島の山深いエリア、大峰山地でのキャンプ初日のようすをお伝えしました。一夜明けた二日目……

薄暗い森の中に響く不思議な鳥のさえずり

夜半にはかなり冷え込み、ソロテントの中で、ダウンの寝袋にくるまって寝ていたのですが、まだ夜明け前の薄暗い時間から、森の中に奇妙な鳥の声が響いていました。ぼんやりとまどろみながら聞いていたのですが、何の声だか思い出した! そしたらパキっと目が覚めた!

あの独特の声は! まだ一度も肉眼でその姿をみたことがない、アカショウビン! しかも、一羽ではなく複数いるみたいです。

居ても立っても居られなくなり、なるべく物音をたてないようにそっとテントを滑り出して、声が聞こえる森の中へ……

夜明け前で薄暗いうえ、すでに新緑シーズン。木々はしっかりと葉を茂らせていて、枝にとまっている鳥の姿を肉眼で見つけるのはなかなか難しい状態。さえずりが聞こえる方向へ、足音をしのばせながら歩いてみましたが、結局アカショウビンの姿を見ることはできませんでした。

けれど、みんながまだ寝静まっている時間に、一人きりでひんやりとした森の中をそぞろ歩き、ひたすら美しい憧れの鳥の声を聞いているひとときは、とても贅沢で幸せな時間でした。

ちなみに、こんな鳥です。またの名を「火の鳥」。

サイトに帰ると、そろそろ朝ごはんの準備をする時間。メニューは、前日に道の駅で購入した食材を使って、それぞれが好きなものをはさんで作るサンドイッチと、野菜たっぷりのスープです。

奈良県はいちごの一大産地。奈良県独自の品種も多く、ブランドいちごもいろいろある地域。デザート用に、「あすかルビー」という甘いいちごをたっぷり仕入れてました。

各自、好きな具材を好きなだけ挟んだ、巨大なサンドイッチと、地元産フレッシュいちごと淹れたてコーヒーの朝食を楽しんだ後は、キャンプ場のすぐ裏手にある「和佐又山」(1344m)まで歩きます。

ブナ林の新緑と木漏れ日が心地よい〝お散歩登山〟

キャンプ場の南西、地図上の直線距離ではわずか500mのところに位置する和佐又山。登りで30分程度の気軽なコースです。大峰山地は、険峻で厳しい山が多い印象なのですが、和佐又山は真逆の癒し系。登山というより、お散歩のような感じで歩けます。

新緑のブナ林は美しく、とくに危険な場所もないので、ヒーリング気分でのんびりと登ります。時折、いろいろな野鳥のさえずりが聞こえていましたが、日が昇ってからはなぜかアカショウビンの声は一度も聞こえませんでした。あれは、うんと早起きをした人だけのご褒美だったのかな。

和佐又山を彩る初夏の花たち

今回の山旅で、もう一つ出会えてうれしかったもの。それは、〝深窓の令嬢〟ならぬ、〝深山の麗人〟という佇まいの美しい山の花「ヤマシャクヤク」です。

真っ白な五弁の花びらの中に、黄色のおしべと紫の差し色がくっきりしていて、とても清楚な印象の花。園芸種の「芍薬」のような華やかさはないのですが、野生の気高さのようなものが感じられ、大好きな花のひとつです。

下りながらふと目を上げると、頭の上にはベニドウダンの愛らしい花が揺れていました。これまた、見つけるとうれしくなります。

和佐又山ハイキング

のんびり歩いて、休憩もしながら、1時間半ほどのショートハイキングだったのですが、なかなか満足できるお花探索となりました。