究極のキャンプ飯ここにあり! 焚き火の炎で豪快に「本格パラパラ炒飯」をつくってみた

楽しい外遊びはソトラバで。アウトドアWEBメディア Soto Lover

  • 本格パラパラ炒飯
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「定年を迎えた男はなぜ蕎麦を打ちたがるのか?」。これは永遠の謎であります。まあ、本当なら豪華客船で世界一周クルーズとか、ハワイでゴルフ三昧とか、他にやりたいことがあるのかもしれません。でも、限られた額の退職金がそれを許してくれない。それで、経済的な負担が少ない蕎麦打ちに向かうのでしょう。

中華鍋とおたまで始める炒飯ライフ

ぼくはフリーランスなので定年はないけど、もう定年退職してもおかしくない年齢になりました。なので、何かいい老後の趣味はないものかと考えてるうちに、蕎麦……じゃなくて炒飯にハマりました。べつに炒飯マニアじゃないし、各地の町中華を食べ歩いたりはしないけれど、あの中華鍋をガッコンガッコン振るって炒飯を作る工程に楽しみを見出してしまった。

それで、8年前の暮れに合羽橋へ行きました。そこで買ったのは直径30センチの中華鍋で、これは中華鍋界のギブソンとぼくが勝手に呼んでる山田工業所の一級品。こういうことは、まず形から入るのが大切なんです。蕎麦打ちにハマったおじさんが、とりあえず麺棒と作務衣を買いに行くみたいなもんですか。

中華鍋は、テフロンなどのフライパンと違って、買ってきたらまずは錆止め加工を落とし、油ならしをして、使える道具に育てなければなりません。その工程はここで説明すると話が長くなるので省略。興味のある皆さんは各自で検索してみてくださいね。

で、きっちり育て上げた中華鍋を手に入れてからというもの、ぼくは8年間かけて様々な試行錯誤を繰り返し、炒飯を作る技術を磨いてきました。まあ火力が弱い家庭用のガスコンロで作るので、どうしても出来にムラはあります。でも、米の炊き具合、油の量、塩加減、加熱時間といったすべてがピタリと決まったときの炒飯は、そこらの店にも負けない自信があるのです。

ただ、いま言ったように問題は火力。あの中華料理屋で見るような、業務用コンロの豪快な火力で炒飯を作ってみたい。そうすればもっと高みを目指せるのに! そんな火力がどこかにないかしら……あった。彩湖・道満グリーンパークのバーベキュー場に。

バーベキューをするときに使用する主な火力はふたつある。「炭火」と「焚き火」です。コンロに並べた炭で火をおこし、網の上に並べた肉や野菜にじっくりと火を通す。これはバーベキューの基本ですね。一方、焚き火でおこした火はメラメラと燃え上がり、肉の表面を炙ったり、汁物を煮立たせるのに適している。これをうまく使い分ければ、バーベキューはより楽しくなります。

今回は、この焚き火の方に着目しました。薪をしっかり並べて火を起こせば、中華料理屋の厨房並みの火力が得られるのでは! さっそく火をおこし、炒飯作りに取り掛かりましょう。おっと、もしものときのために消化用のバケツを用意しておくのを忘れずに!

おそとでの炒飯は材料もすべて刻んでおく

現場でごはんを炊くのは厄介なので、あらかじめ家で炊いてきたのを持ってきました。どこの中華料理屋もやってることですが、炒飯にはそれ用に水を少なめにして炊いたごはんじゃないとダメなんです。でないとべちゃべちゃしたものになってしまう。

それと、ごはんの分量は必要なだけ持ってくればいいわけですが、炒飯にするときは1回につき1人前ずつが吉。プロの料理人ならともかく、アマチュア(ぼくも含めて)が面倒だからと3人前とかを一度に作ろうとすると、思うように中華鍋がコントロールできずに、火の通りが悪くなったり、逆に焦げつかせたりしがちです。「1回につき1人前ずつ作る」これを守りましょう!

具材はなんでもいいんですが、今回はシンプルにネギとカマボコだけ。ネギは白いところの他に青いところも少し刻んでおくと、色合いが良くなります。さらにカマボコも白でなくピンクのやつを選べば、見た目がいっそうカラフルになって良いでしょう。それぞれの分量はご自由に。

炒飯は作る前に頭の中で手順を反復し、短時間で一気に仕上げるのがコツ。だから、作り始める前に、コンロ(今回は焚き火ですが)の脇にきちんと並べておきましょう。調味料類の蓋もあらかじめ開けておき、調理中にモタつくことがないようにします。

炒飯を作る手順は簡単。大さじ2~3杯くらいの油を鍋に回し入れ、加熱してよく馴染ませる。煙が上がってきたら1個分の溶き玉子を投入し、おたまで攪拌して油と馴染ませます。そうしたら、すぐにごはんも投入して、一気に混ぜていきます。

炒飯作りにおけるごはんのほぐし方

炊き立てごはんではなく、タッパーなどに入れてキャンプ場に持ってきている場合、ごはんが塊になっているかもしれません。それをどうやってパラパラにほぐすか? ここが炒飯づくりにおいて一番の勝負どころであり、時間との戦いでもあります。

パラパラにすることを焦るあまり、つい闇雲に鍋をかき混ぜたくなってしまいますが、大事なのはごはんをほぐすこと。そのためには、ごはんが塊になっているところを見つけては、ひとつひとつおたまの背中で軽く叩きながらほぐしていくのです。塊をほぐしてはかき混ぜ、塊をほぐしてはかき混ぜる。これをひたすら繰り返していきます。

つい、プロの料理人がやるように鍋をガンガン振るって炒飯を踊らせたくなりますが、そんな必要はありません。むしろ、それをやると鍋が火元から離れて温度が下がってしまうので逆効果。慣れないうちは無理して鍋を動かそうとせず、オタマの背中で叩いては混ぜ、叩いては混ぜを繰り返すだけで、パラパラになっていきます。

ある程度ほぐれたら、塩→うま味調味料→コショーの順で味付けしていきます。人によって味の好みが違いますから、それぞれの分量がいくつかは明言できません。ただ、濃すぎたら元には戻せないので、とりあえず控えめに味付けして、味見をしながら増やせばいいでしょう。うま味調味料を好まない人は無理に入れなくてもいいですが、中華料理の味の大半はうま味調味料で決まるようなもんなので、ガッツリ入れた方がお店の味っぽくなるよ、とは言っておきます。

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